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| 乳がん乗り越え“職場復帰” 授産施設の通所女性 |
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「みんなと一緒に働き続けたい」―。乳がんと闘いながら、合志市野々島の知的障害者授産施設「野々島学園」(土井尚典施設長)に通い続けている女性がいる。つらい治療のさなかも自宅と施設をテレビ電話で結んで作業を続け、4月からは念願の“職場復帰”を果たした。
同学園には現在、30人の知的障害者が通いながら、ステンドグラスや織物、陶芸、パンなどさまざまな製品をつくっている。木下ユミさん(50)=仮名=は織物の担当。織り機を使って、色とりどりの糸を鮮やかな布に仕上げ、きんちゃくや手提げなどを製作する。
ユミさんが同学園に通い始めたのは10年前。当初は内向的でおとなしかったが、次第に織物にのめり込み、これまで作品展にも数多く出品。作品販売会にも積極的に参加するようになり、今や仲間たちから頼られる「お姉さん的」存在だ。
昨年11月、ユミさんは体の不調を訴えた。検査の結果、乳がん。すぐに手術したが、がん細胞をすべて除去できず、医者からは抗がん剤治療を続けるしかないと言われた。抗がん剤で髪が抜け、体力も低下する。外出できないため、退院後も自宅で過ごす日々。「毎日泣き暮らしていた」(ユミさん)。
今年に入り、自宅を訪れた同学園の職員に、ユミさんが漏らした。「学園に行きたい」。そこで、職員たちが考えたのが、学園とユミさんの自宅をつなぐテレビ電話だった。クリスマスプレゼントとして、NTTグループの社員たちが贈ってくれた募金を基に購入。取り付けもNTT側に相談すると、無料で引き受けてくれたという。
3月上旬、テレビ電話を使って職員や仲間とやり取りをしながら自宅で作業を再開。休み時間には、作業場の仲間とおしゃべりを楽しんだ。そのころからユミさんに笑顔が戻り始め、1カ月もたたないうちに病状も驚くほど回復。レントゲンやエコーで見る限り、がん細胞は消えたという。
4月に入り、ひょっこり学園に現れたユミさん。「体調が良くなったとは聞いていたが、こんなに早く通えるようになるとは。『働き続けたい』という彼女の強い願いが天に通じたのかもしれません」と土井施設長。以来、治療のある金曜日を除いて毎日、学園に通っている。
最近はパンを作る作業場にも足を運ぶ。「両親も、施設の人も、病院の先生も、私のために一生懸命してくれるからここに通える。今はとっても楽しい」。小さな体を丸めてパン袋にシールを張りながら、はにかむユミさん。現在は6月の作品展に向け、織物作りに励んでいる。(浪床敬子)
(熊本日日新聞2006年5月3日付朝刊)
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