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「産後うつ」早期発見を 県の支援システム始まる
産後うつの早期発見のための手引き(左)とアンケート(中)、母親にアンケートへの協力を求める依頼文
 気持ちが不安定になりやすい産後の母親の“SOS”をいち早くキャッチし、支援につなげるシステムが、4月から県内でスタートしている。産婦人科など医療機関の協力によって、県内全域で早い段階から不安を抱える母親を発見、回復の手助けを目指す取り組みで、母親や医療機関の協力を呼びかけている。

 子どもが生まれた後、特に母親がかかりやすいのが「産後うつ」。出産後3カ月ごろまでにみられ、国内では約10%の女性が経験するとされる。

 症状は、不眠や食欲の減退、育児や家事をする気力がなくなる―など。軽症だと周囲の支援で治る場合が多いが、重症の場合は専門家の治療が必要になる。見逃せば、子どもへの愛着形成に影響したり、児童虐待につながる恐れもあるという。症状のピークは産後1―3カ月だが、早い人の場合は2、3週間で症状が現れ、周囲の関心が子どもに集中しがちな時期に母親自身も気づかないことがあるという。

 今回スタートしたシステムでは、分娩(ぶんべん)にかかわる県内の全医療機関約70カ所に、母親の状態を把握するための記入式アンケート「EPDS」(日本版エジンバラ産後うつ病自己評価票)を配布。1カ月健診に訪れた母親に病院でアンケートに記入してもらう。

 アンケートの結果などから、医師が「要支援」と判断した場合、母親から情報提供の同意をとった上で、市町村の担当課に連絡。保健師らが家庭訪問や電話相談などで母親をフォローしていく。里帰り中の母親の場合、県内在住者は住所のある市町村が、県外から帰省している母親は里帰り先の市町村が対応する。

 県は2003年度から、地域の保健師が新生児訪問する機会を利用して産後うつの早期発見、援助につなげる「県母親の心のケア推進事業」を実施。その中で、独自の面接マニュアルを作り、保健師の研修会も開いてきた。

 しかし、自治体ごとで対応する場合、
 (1)里帰り出産で母親が住所のある市町村外にとどまる期間が長いと、発見の時期が遅れてしまう
 (2)取り組みに対する市町村の温度差
 (3)母親の住所がある市町村の枠を超えられない―などの課題もあった。

 「これまで一番支援が必要なときに相談や支援が難しかった。早期発見には広域的な取り組みでないと、効果が上がらない」と県健康福祉部は訴える。

 今回のシステムについて、熊本市内のある病院は「医療機関が協力すれば、出産前後から母親と助産師、医師がつながることになり、産後うつの防止を図れると思う。多くの医療機関が参加し、広域的な取り組みになれば、より効果が上がってくるのではないか」と期待する。

 一方、アンケートは母親が自らの意思で記入することが必要だが、「産後うつ病の恐れがある人ほど、設問に拒否感を示す場合もあるかもしれない」と同部。「子どもの健やかな成長には、母親の心身の健康がとても大事。産後うつの恐れがあっても、自分が特別などと考えないで。母親なら誰でもかかる可能性があるということを、まず知ってほしい」と呼びかけている。(吉田紳一)

 (熊本日日新聞2005年4月14日付朝刊くらし面)

 
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