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性器脱のメッシュ手術 術後の痛み少なく再発低く
 性器脱(だつ)。耳慣れない病名だが、悩まされている中高年の女性は少なくない。従来は患者自身の膀胱(ぼうこう)や子宮の周辺組織を使って膣(ちつ)を補強する手術が一般的だったが、使う組織そのものが傷んでいるため、再発率が高かった。最近、人工素材の「メッシュ」を使った経膣手術が登場、術後の痛みが少なく、再発率も低くなっている。

 女性の骨盤の中には、子宮、膀胱、尿道、直腸などの臓器がある。これらの臓器は、恥骨から尾てい骨までをつなぐ骨盤底筋というハンモック状の筋肉や靭帯(じんたい)が囲み、力がかかっても落ちないように支えている。

 ■膣壁が体外に

 ところが骨盤底の筋肉が緩んだり、筋肉の組織の一部が切れたりすると、重みに耐えきれず臓器が下がり、膣壁が臓器に押されて体外に出てしまう。下がった臓器の種類によって、子宮脱、膀胱瘤、直腸瘤などと呼ぶ。複数の臓器が飛び出すと性器脱と総称される。

 出産経験者がなりやすい。赤ちゃんが産道を通る際に骨盤底筋が引き伸ばされたり、切れたりするのが原因だ。出産までの時間が長かったり、生まれた赤ちゃんが大きいとなりやすい。

 また体形を早く戻すため、きついガードルやコルセットを締めたり、腹筋運動をするのも原因になりやすい。胴回りを強く締め付けると、子宮などが下がりやすい。腹筋運動は骨盤底筋に負担をかけてしまう。

 この病気になると、日常生活の質は大幅に低下する。尿が出にくい、尿漏れするといった排尿障害などに悩まされる。

 国内の正確な患者数は不明だが、子宮筋腫や尿失禁の患者と同等数以上ではないかとの見方もある。日本の女性尿失禁者は全国で500万人―1000万人と推定されている。

 切除や摘出も

 臓器が膣の中にとどまっているうちは、骨盤底の筋肉を締める体操や女性ホルモンの補充で対応できる。膣の入り口まで下がっている場合は、リング状のペッサリーという器具を入れて止めるが、炎症になることも多く、長くは使えない。

 膣の外まで出てくると、基本的には外科手術しかない。下がってきた臓器を本来の位置に戻し、膣壁とその臓器の間を補強する。子宮は、一部を切除したり、摘出したりする。補強の際は、骨盤内の組織を縫い合わせるなどしていたが、もともと傷んでいる組織を使うため、米国の調査では患者の29%―40%は再発する。しかも再発の60%が同一部位という。

  医療保険が適用

 これに代わるのが、人工素材で編み上げた「メッシュ」を使う経膣手術だ。傷んだ組織の代わりにメッシュを使うため、再発が少なく、術後の痛みや体への負担も小さい。

 下がった臓器と膣壁との間に、伸びない素材(高強度のポリプロピレン線維)を入れて壁をつくる。「性器脱手術に適したメッシュは、感染に強い、周囲の組織になじみ易い、組織学的に丈夫、術後の収縮が少ない、柔らかい、の5項目が特に大切」。昭和大横浜市北部病院の島田誠・泌尿器科教授は指摘する。

  島田教授によると、メッシュ手術の長期治療成績はこれからだが、これまで実施した例から推計すると、再発率は5%程度に低下するという。

 ただメッシュがずれて体外に出てしまって感染を起こす可能性もあり、熟練した技術が必要だ。

 手術時間は通常、1時間―2時間。開腹しなくてもよい。入院期間は1週間程度。手術は医療保険が適用される。

 (熊本日日新聞2006年3月15日付「夕刊メディカル」)
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