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二次性副甲状腺機能亢進症 ビタミンD投与で縮小を実証
二次性副甲状腺機能亢進症は、人工透析患者には大敵だ。骨を溶かす副甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、溶け出した過剰なカルシウムが血管に付着して全身症を引き起こす。
九州大学付属病院肝臓疾患治療部の谷口正智医師
このため、腫大した副甲状腺をすべて摘出し、正常な部分を細かく切って腕に移植していた。ところが、九州大付属病院腎疾患治療部の谷口正智医師らが、ラットを使った実験で活性型ビタミンD3を投与することにより、腫大した副甲状腺を縮小させることができることを突き止めた。
国内の人工透析の患者は約20万人。透析歴の長い患者に二次性副甲状腺機能亢進症が起こり易いとされている。副甲状腺の機能が亢進すると、骨を溶かす副甲状腺ホルモンの分泌量が増えてカルシウムが結晶化して血管に付着。血管の石灰化が起こり血管を硬くする。
その結果、頭がい骨や腰の骨密度が低下。腹部大動脈や関節、心臓などにも大量に運ばれると、石灰化して機能を失う。さらに本来は腎臓で排出されるリンが体内に蓄積し、石灰化を助長する。
こんな患者には本来、腎臓で作られる活性型ビタミンD3またはD3に準じた薬を投与してコントロールするが、谷口医師によると、平均10年以上で副甲状腺の細胞が増殖し腫大するため、薬によるコントロールが効かなくなる。ビタミンD3を感知するビタミンD受容体やカルシウム感受受容体の数が減って、ホルモン分泌が抑制される結果という。
転移はしないものの、全身に障害が出るため、一般的には副甲状腺を全部摘出し、正常な部分のみを腕に移植していた。一度大きくなった副甲状腺は、小さくならないという、これまでの定説に従った治療方だ。この定説を、谷口医師らはラット実験で覆した。
まずラットの腎臓の6分の5を摘出、慢性腎不全を起こさせた。この慢性腎不全のラットに高リン食を与え副甲状腺を腫大化。8週間後に活性型ビタミンD3を初めて投与し、その後、4週間投与し続けた。
その結果、8週間後に1ミリグラムを超えていた副甲状腺の重さは、4週間後に0・6ミリグラムに減少。一端、腫大した副甲状腺が、縮小することを初めて実証した。
「副甲状腺が腫大すると、1週目でビタミンD受容体の数が減り、2週目はカルシウム感受受容体の数と細胞増殖を抑制するp21と呼ばれるタンパク質が減る。副甲状腺が有意に腫大したのは4週目。ビタミンD受容体、カルシウム感受受容体、p21の低下が、副甲状腺の細胞増殖に関与していたわけです」と谷口医師。ここで活性型ビタミンD3に着目し、8週間後から投与し続けたところ、腫大していた副甲状腺が徐々に縮小していった。
「活性型ビタミンD3が、ビタミンDとカルシウムの受容体とp21の発現を亢進し、腫大した副甲状腺を縮小させた可能性が高い。ただ受容体の数が減ったから腫大したのか、腫大した結果、受容体の数が減るのか。そのいずれかは不明だが、負の連鎖が起こっているのは明らか」と指摘する。
この研究報告を、谷口医師は6月8日から5日間、独ベルリンで開かれた国際腎臓病学会で発表、約2400題の中からベスト30に選ばれた。日本人では唯一という。
谷口医師らは、ラット実験の結果から、人間の副甲状腺にも十分な活性型ビタミンD3を投与すれば、腫大した副甲状腺が縮小する可能性が高いと判断。院内の倫理委員会の承認を得て、二次性副甲状腺機能亢進症に陥った人工透析患者の副甲状腺にD3を直接注射する臨床試験に入っている。
(熊本日日新聞2003年7月16日夕刊)
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