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レニン直接作用降圧薬 長期的な血圧管理を達成
 体の血圧は、腎臓が分泌するホルモンでも調節されている。その調節のための一連の反応は「レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系」と呼ばれる。このうちレニン系の作用を直接阻害する経口の降圧薬が開発され、臨床試験でリバウンドのない長期的な血圧管理を達成した。

 血圧を調整するレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の働きはこうだ。まず、収縮期血圧(上の血圧)が100mgHg以下に下がると、腎臓からレニンという酵素が血液中に放出される。レニンは、血液中を循環しているアンジオテンシノーゲンというタンパク質を分解する。その分解されたタンパク質はアンジオテンシンTと呼ばれ、アンジオテンシン変換酵素(ACE)によって分解され、非常に高活性のアンジオテンシンUに変わる。

 アンジオテンシンUは、細動脈を収縮させて血圧を上げる一方、副腎からアルドステロンというホルモンを分泌させる。アルドステロンは、腎臓に作用してナトリウム(塩分)を保持させ、カリウムを排出させる。ナトリウムは水分を貯留させるため、血液量が増えて血圧が上がる。

 一方、薬剤は、スイス・ノバルティス社が開発したアリスキレン。一連の最初の反応のレニン系に作用し、活性起点であるレニンの放出を直接妨げて活性を抑制する。

 海外の臨床試験では、アリスキレンの単独投与と他の降圧薬(利尿剤)との併用投与が試みられた。

 軽度から中等度の高血圧患者672人に対し、アリスキレンを1日1回150mg、300mg、600mg投与した群と偽薬を1日1回投与した群を、携帯型の血圧測定装置で24時間測って比較した。その結果、アリスキレンを150mg投与した時のトラフ/ピーク比は0・64、350mg投与した時は0・98、600mg投与した時は0・86だった。トラフ/ピーク比は血圧の変動差。数値が少ないほど良い降圧薬とされる。

 また高血圧患者2776人に対し、アリスキレン75mg、150mg、300mgを、別の降圧薬である利尿剤または偽薬と8週間併用投与したところ、アリスキレンと利尿剤の併用投与は、アリスキレンの単独投与または利尿剤の単独投与よりも、収縮期と拡張期の血圧を有意に低下させた。アリスキレン300mgと利尿剤25mgを併用投与した場合、拡張期血圧(下の血圧)が90mmHg未満に低下、または、血圧が少なくとも10mmHg低下という治療成功例の割合が最高になったという。

 臨床試験全般でアリスキレンは最大300mgの投与量まで一貫して偽薬と同等の忍容性を示していた。

 さらにスペインで開かれた第15回世界心臓病学会で発表されたデータによると、アリスキレンの降圧効果は1年以上続き、単独投与では収縮期17・4mmHg、拡張期13・3mmHgそれぞれ低下した。利尿剤との併用投与では、収縮期18・7mmHg、拡張期12・1mmHgそれぞれ下がった。この臨床試験では、投与開始後11カ月の時点でアリスキレンを偽薬に変更した。血圧は1カ月かけてゆっくり上昇し、リバウンドは認められなかったという。

 アリスキレンは今年4月、米国で承認申請されている。承認を得たら、レニンの作用を直接阻害するという十数年ぶりの新しいタイプの降圧薬が誕生する。(南里秀之)

 (くまにちコム「健康・医療」2006年9月13日付)

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