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命をつなぐ移植医療〜臓器移植(1)

 移植医療は多くの命を助けられる、命をつなぐ医療。脳死状態での臓器提供を認める臓器移植法が施行されてちょうど8年になるが、臓器移植は全国的に進んでいないのが現状だ。

 県内では、県臓器移植コーディネーターの西村真理子さんが臓器移植の推進・普及啓発に取り組んでいる。

 このほど熊本市で講演した西村さんの話を基に、臓器提供に対する意思表示や移植医療の意義などについてまとめた。(高本文明)

◆西村真理子(にしむら・まりこ)さん 熊本県臓器移植コーディネーター。熊本市出身、熊本大大学院修了。薬剤師。1987年4月、熊本赤十字病院に入社。腎臓移植患者とのかかわりなどをきっかけに、移植コーディネーターに。日本組織移植学会の組織移植コーディネーター(全国で13人)も務める。2児の母親、熊本市在住、43歳。
臓器提供意思表示カード

 臓器移植法と「4つの権利」

 臓器移植法が1997年10月にできて、脳死で臓器を提供する場合に限って、脳死を人の死とすることになりました。8年前から日本でも、脳死の方から臓器を提供していただけるようになったのです。それ以前は、提供できるのは、心臓停止後の角膜と腎臓だけでしたが、脳死でも心臓や肺、肝臓などの臓器が、日本でも提供できるようになっています。

 それに伴って、国民1人1人に「移植に対する権利」という4つの権利が生まれます。まず、「提供する権利」。「私は臓器を提供してもいい」「提供したい」と言ってくださる方には、「提供する権利」があります。逆に、「私はしたくない」「亡くなってから体を切られるのは嫌だ」という方には、「提供しない権利」があります。

 そして皆さん、もしかすると、移植を受けたら治る病気になる可能性もあるでしょう。そういう方には「受ける権利」があります。「移植を受けてまで、自分は元気にならなくてもいい」という方がいらっしゃるかもしれませんので、「受けない権利」もあります。こうした4つの権利が臓器移植法によって生まれてきたわけです。

 法律では義務とまではしていませんが、国民、県民の皆さんが自分は移植について、どう考え、どう意思表示をするか、自分でちゃんと考えて決めた結果を「臓器提供意思表示カード」に示していただきたいのです。

  脳死と植物状態の違い

 ここで、提供の前提となる脳死と、いわゆる植物状態の違いを説明します。脳死と植物状態は、どうしても混同しがちですね。植物状態とは、端的に言ったら、自分で呼吸できます。でも、脳死の方は、自分で呼吸ができません。だから、人工呼吸器をつけて外から酸素を送り込まないといけない。もう脳が完全に働かないので、外から酸素を送り込むことで心臓が勘違いして、しばらく動く。ですから、植物状態のときは、自分で息ができて回復する可能性はありますが、脳死状態と判断されたら、もう元に戻ることはありません。

 この点、一般も、医療関係者もごっちゃになっている方が多いので、この違いをはっきり認識していただきたいと思います。

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