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 移植医療との出会い     きょうの発言 西村真理子さん(1)
 私が移植医療のことを意識したのは、熊本大学薬学部に在学中、生化学研究室で免疫関係の論文を嫌々ながら読まされていた時のことだ。新世代の免疫抑制剤が開発され、今後、移植の成績がどんどんよくなるだろうということを知ってからだと思う。自分が死んでから体の一部が他の人の命を救うことになるというのは素晴らしいと、単純に感動していた。

 その薬の名前が「シクロスポリン」。響きがかわいいと思ったのを覚えている。まさか自分が移植という医療とここまで深くかかわることになるとは当時、夢にも思わなかった。

 大学を出て熊本赤十字病院に就職。薬剤師として国際救援に行くことを目指して英会話講座や研修会に参加していたが、ちょうどそのころ日赤病院では腎臓移植を始める準備が進んでいるところだった。私が大学の研究室で使っていた測定機器がシクロスポリンの血中濃度を測るのに使えるというので、腎臓移植後の患者さんたちに投与する薬の管理を任され、毎日患者さんと顔を合わせていた。

 当時は薬剤師が入院患者さんのベッドサイドに行くことは珍しく、直接副作用のチェックや飲み忘れがないかなどが把握できた。移植によって透析では到底得られなかった、より健康に近い状態を患者さんとともに喜ぶことができたのは、その後の私の活動に大きな影響を与えたと思う。

 平成元年から平成5年にかけては毎年、腎臓提供者が増えた。1人から2つの腎臓提供があるので移植者はその倍になり、私の仕事も増えていった。

 移植を受けた患者さんは劇的に元気になられた。そんな命がつながる場面に立ち会うたびに感動を覚え、移植医療の必要性を感じた。その思いが私に力を与えてくれた。(県臓器移植コーディネーター)

 (熊本日日新聞2005年7月6日付夕刊「きょうの発言」)
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