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献腎 県内で3年8カ月ぶりに提供者
 死亡した人の腎臓を患者に提供する「献腎」が八月下旬、県内在住者では三年八カ月ぶりに実現した。腎臓移植を約一万二千人が望んでいる国内ではここ数年、献腎が徐々に増加。ただ、県内では献腎、移植件数ともに伸び悩んでおり、県角膜・腎臓バンク協会は「先進県に学び、医療機関や健康な人に臓器移植への関心を高めてもらう必要がある」としている。

 今回、献腎したのは病気で亡くなった五十代女性。二つの腎臓とも、移植を待ちわびていた二人の患者に県内の病院で移植された。

 県によると、同協会が発足した一九八九年以降、県内在住者の献腎は二十三人目。当初は毎年二、三件ずつ、九三年は献腎五件とそれに伴う移植実績が十件に上った。

 しかし、九六年に初めて県内在住者の献腎がゼロになるなど落ち込み、九七〜〇六年は十年間で四件と低迷。九八、〇二、〇四年には他県からの提供もなく献腎移植も行われなかった。「献腎の多い県が他県に腎臓を回す仕組みが、地元で献腎を広げる動きを滞らせてしまった」と、県臓器移植コーディネーターの西村真理子さん。

 一方、福岡県などは医療現場を通じて患者家族らに臓器移植の必要性を訴えるパンフレットを作製、実績を挙げている。こうした動きが広がり全国の献腎数は〇三年七五件、〇四年九十件、〇五年八十二件、〇六年百二件と増加傾向にある。

 県も昨年度、先進県に倣い、家族に医師らが配るパンフレットを作製。「(本人と)移植医療や臓器提供について何か話していたか」「臓器提供の話を、専門職員から聞いてもよいか」と問い掛ける内容で、本年度から同協会を通じて医療機関などに置いている。

 今回、献腎した女性は「臓器提供意思表示カード」を持っていなかったが、ボランティア活動に熱心で「人の役に立ちたい」が信条。そんな思いを受け止めた家族が献腎に同意したという。

 家族間での生体間移植と違い、第三者による献腎移植のハードルは高い。西村さんは「医療機関自体はもちろん、社会的な関心を高めなければ、この女性や家族らの思いを実現できない」。県薬務衛生課は「個々でケースが異なる。パンフレットなどを通じ理解を深めたい」と話している。(小多崇)


(熊本日日新聞2007年9月17日朝刊)
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