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| 経営に直結 大学の“供給体制”崩壊 |
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| 荒尾市民病院の呼吸器内科などの受け付け。同病院には現在、呼吸器内科の常勤医はおらず、非常勤医が診療している |
「ここ数年は、大学から手紙が来ると医師引き揚げの通知ではないかとヒヤヒヤ。熊本大以外にも医師派遣を要望しているが、どこも厳しい」と荒尾市民病院の大嶋壽海院長(57)。「今はのどから手が出るほど内科医が欲しい」と言う。
地域の拠点病院である同病院は、〇五年には小児科など三人、〇六年には消化器内科や神経内科など十一人の常勤医が減った。〇七年からは、さらに呼吸器科が不在に。〇四年に四十五人いた常勤医は、現在は二十八人になった。
かつての炭鉱の町。坑内の粉じんによって呼吸器に疾患を持つ元炭鉱マンも多い。現在、非常勤医が週三回診療にあたっているが、珪(けい)肺など重度の患者は、専門医がいる大牟田市の病院に紹介している。
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自治体病院は高コスト構造とされ、医療費抑制の流れの中、経営悪化はどこも深刻。なかでも医師の減少は医業収益の減少に直結するため、大幅減となった荒尾市民病院は深刻だ。累積赤字は〇六年度決算で約二十八億円と、〇四年度に比べ約十億円増えた。
病院は総務省派遣の経営アドバイザーの助言も受け、職員給与カット、療養病床の廃止、看護体制の充実、給食業務の民間委託…とさまざまな再建策に取り組む。
総務省は病院を経営する自治体に対し、〇八年度中に「公立病院改革プラン」の策定を求め、荒尾市も近く検討委員会を設置する。
医師不足は残された現場のひずみとなり、ドミノ現象も生む。
「地域医療からの撤退は本意ではないが、医師がつぶれてしまっては仕方がない。医学の進歩でチーム医療の重要性も高く、あまりにきしむ施設からは撤退、重点配置を進める場合もある。医師の赤信号が、自治体などになかなか伝わらなかった」と熊大医局。
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医師不足の「引き金」とされるのは、〇四年度に始まった新人医師の臨床研修制度だ。
それまで、国家試験にパスした医師は、主に大学の医局に属して研修を積んだ。大学には多くの医師が集まり、医師の派遣元となった。行政も病院も、医師配置は大学に頼り切ってきた。
新しい研修制度では、医師が研修先を選べ、その後の進路も選択肢が広がった。大学より症例が豊富とされる大病院などは人気が高い。大学も人手が不足し、派遣能力が落ちたことが現在の医師不足の一面だ。
「医師の派遣先は、基本的に若い医師の希望をもとに決まる」「その希望は、仕事の内容、リスクの有無、自分のライフサイクルが優先する傾向が強い」と熊大教授。
「医師が来たいと思うような病院づくりに努めていく」と荒尾市民病院の大嶋院長。県北地域で唯一の「地域がん診療連携拠点病院」指定もその一つだ。しかし、「病院の努力だけでは限界もある。地方に医師が回るシステム整備も急務」とも訴える。(宮崎祥一郎)
(熊本日日新聞2008年6月4日付朝刊) |
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