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| 疲弊する小児科医 必要な病院が犠牲に |
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| 昨年8月から常勤医が不在となり、外来診療が週2日に縮小した山鹿市立病院の小児科診察窓口
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午後九時過ぎ。三歳の長女にぜんそくの発作が出た。山鹿市の自宅アパート。母親(28)は車を走らせ、熊本市の地域医療センターへ。容体が落ち着いたのは日付が変わったころだった。
山鹿市立病院は昨年八月、小児科常勤医が不在となった。外来診療は週二日に縮小。鹿本郡市医師会の協力で週三日実施していた夜間救急外来(午後七〜同十時)も「専門医不在で医療の質が保てない」と休診に。年間約千四百人に上った夜間救急の「受け皿」がなくなった。
「やっぱり夜間でも診てくれる病院がいないと…」。母親は熊本市への転居も考えた。
県によると、医師不足のため、この三年間に山鹿、荒尾、和水、八代、天草など五カ所の公的病院で小児科が縮小・休診となった。
「勤務医が開業へシフトしている」と小児科勤務医。当直明けも仕事が続く労働環境、時間外の患者には「昼間は仕事で連れて来られない」などと言われ、「明日は休めない」と検査などを求められることも。待ち時間が長いとクレーム、しかも多くは軽症だ。
加えて、「小児科は不採算部門」として、自治体病院などでは議会との関係がぎくしゃくすることもある。そうした現場に「医師が疲弊し、意欲を失いつつある」と大学関係者。
こうして、本当に必要な小児医療の窓口までが犠牲になっている。
県内で二十四時間の小児救急体制があるのは、熊本市の熊本赤十字病院、同市医師会の熊本地域医療センター、天草市医師会の天草地域医療センターの三カ所。県はこのほかにも、県北と県南に数カ所、救急拠点施設の整備が必要という。
しかし、「ちょっとした熱や体調不良で『開いていてよかった』とコンビニ的に受診されれば、どんな施設を整備してもすぐにパンク、拠点病院の勤務医の負担が過大になる」と小児科医。
鹿本郡市医師会は、小児科撤退に伴い内科医らが「小児科勉強会」を開き、患者の相談に応じる体制を敷いた。しかし、自宅で様子を見てもいいとアドバイスしても、熊本市内の病院などに向かうケースも多い。母親の育児不安への対応、かかりつけ医の役割が大切という。
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兵庫県丹波市では子育て中の母親らが近くの病院の「小児科撤退」の報道を知り、「小児科を守る会」を組織。「コンビニ受診が医師を追い詰める」と、「子供の病気に正しい知識を」「かかりつけ医を持とう」「お医者さんに感謝の気持ちを伝えよう」の運動を展開。時間外受診も減少、医療の原点である医師と患者の信頼関係を取り戻し、撤退をくいとめた。
県は子供の急病の不安解消、小児救急補強などを目的に午後七時から同十一時、電話相談を受け付けている。「#8000」で熊本地域医療センターにつながり、看護師や医師が相談に応じる。
昨年は六千六百件の相談があった。しかし、時間外受診の減少にはつながっていないという。(稲田稔丈)
(熊本日日新聞2008年5月31日付朝刊) |
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