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甘く見ないで糖尿病 県内 全国上回る増加率
 県内の糖尿病患者が全国を上回るペースで増えている。痛い、体がだるいなどの自覚症状がほとんどないので、治療が遅れ、失明や腎不全など重い合併症を引き起こすケースが後を絶たない。「病気の怖さを知って、正しい治療につなげてほしい」と県内の患者団体や医療機関は啓発活動に懸命だ。

糖尿病にならない生活習慣を指導する陣内秀昭副院長=熊本市の陣内病院
 陣内病院・糖尿病治療センター(熊本市九品寺)の陣内秀昭副院長は4月中旬、外来に訪れた男性患者の検査結果を見て驚いた。「血糖値が700を超えている。いつこん睡状態に陥ってもおかしくない。なぜ、こんなになるまで放置していたのか」。男性はこの1年間で、70キロあった体重が40キロまで減少したという。

 別の日には、糖尿病で神経障害になった男性患者を診察した。足の親指の裏側に直径1センチほどの穴があき、骨まで達していた。一部は腐敗していたが、神経がマヒしているので痛みは感じないという。「最近、忙しかったので、けがに気付きませんでした」。男性はそう話した。治療がもっと遅ければ、足を切断しなければならなかった。

 空腹時に血液100ミリリットルに含まれている糖分が126ミリグラムを超えれば糖尿病と診断される。最近は空腹時よりも、動脈硬化により関連が深いとされる食事直後の血糖値を指標として重視する考えが広まっている。

 難病の「一型」を除き、栄養過多や運動不足といった生活習慣が病気の原因とされる。しかし、「血糖値が高いとなぜ血管や神経に障害が起きるのか、決定的なことはまだ分かっていない」(陣内副院長)。

 糖尿病は今や、国民病とさえ言われるようになってきた。患者や医療関係者でつくる日本糖尿病協会県支部の古田恒雄支部長は「協会では成人の6人に1人は糖尿病と推定している」と話す。

 厚生労働省が2004(平成16)年にまとめた実態調査では、02年の糖尿病患者は全国で740万人。「可能性が否定できない人」まで含めると1620万人に上った。また、患者の49・4%は、治療を受けたことがなかったり、治療を途中でやめている。古田支部長は「正しく治療すれば悪化はしない。それを放棄する人が多いのは残念」と話す。

 日本糖尿病対策推進会議によると、糖尿病が原因で腎不全になる人は年間1万3000人を超える。さらに3500人が失明し、3000人が足を部分的に切除している。陣内副院長は「食事の欧米化などで患者の数は年々増えている。肥満が目立つ今の子どもたちが大人になるときは、さらに厳しい状況になるだろう」と話す。

 県内は、さらに深刻的な状態だ。県が国保データから推計した04年の糖尿病患者は6万8500人。5年前の4万8500人と比べると4割以上も増えた。「全国平均では5年間で1・2倍ほどだった。(県内の数字は)異常だと感じる」と県健康づくり推進課。厚労省データとは資料の基準が違うので単純比較はできないが、全国平均よりかなり高いことは間違いない。

 陣内副院長ら専門医は糖尿病教育ネットワークをつくり、生活習慣の改善を呼び掛ける講習会を続けている。糖尿病協会も治療の継続を患者や家族に訴えている。

 (熊本日日新聞2006年4月26日付朝刊)
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