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医療費抑制へ対象絞り予防 熊本市など事業展開
 糖尿病や脳梗塞(こうそく)など生活習慣病を持つ人ほど医療費は高額になる―。県国民健康保険団体連合会は県内全市町村の診療報酬明細書(レセプト)の分析結果を基に、こんな問題点を指摘している。これを受け、各市町村は狙う対象を絞った保健事業を展開し、医療費の抑制を目指している。

夫婦でペアになってストレッチをするヘルスアップ教室の参加者=熊本市立体育館
 同連合会は2002年8月、レセプト分析をスタート。分かりやすいデータで問題点を指摘することで、地域住民に健康づくりの必要性を認識してもらうのが狙いだ。03年度は熊本市以外の市町村のレセプトを分析。04年度以降は全市町村のレセプト分析に取り組んでいる。

 分析するのは国保(一般・老人)と社会保険(老人)の毎年5月診療分のレセプト。1枚につき最大3つの疾病を抽出し、医療費との関係性などを調べている。

 同連合会が本年度分析した昨年5月受診分のレセプトは約112万件。何らかの疾病で受診した全受診者は約49万6000人で1人当たりの医療費は6万7403円。これを生活習慣病で受診した人に限ると、医療費は7万9034円に増える。

 生活習慣病の中でも、糖尿病の受診者に限ると8万7840円にアップ。心筋梗塞など虚血性心疾患の受診者の場合は9万1086円で、脳梗塞の受診者では12万9006円と全受診者平均の2倍近くに跳ね上がる。「これらの疾病の予防に取り組めば、医療費を効果的に抑制することができる」と同連合会事業課。

 さらに、本年度はメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目。メタボリックシンドロームの指標となる「高血圧」「糖尿病」「高脂血症など」を併せ持つ人は、心筋梗塞や脳梗塞を発症する危険性が全受診者の2・5倍ほどに高まることも分かった。

 これらの結果は各市町村の保健事業に生かされつつある。熊本市はメタボリックシンドロームの男性を対象に、生活習慣病を予防しようと「ナイスミドル大作戦」を昨年12月にスタート。妻と一緒に毎週水曜夜の健康教室に参加する「夫婦でヘルスアップコース」を設け、栄養管理を含めた“内助の功”を期待する。

 教室ではペアストレッチやウオーキングなどの運動のほか、栄養指導も実施。「妻に誘われ、渋々参加した」という小畑雅文さん(51)=同市水前寺=は「1カ月過ぎたころから体重が減り始め、4キロ減。今では私の方が楽しんでいます」。妻の雅代さん(40)も「同じ目標を持ち、コミュニケーションが増えた」と話す。

 「夫婦だとリタイアが少なく、男性への指導では効果が薄い食生活の改善がみられる」と熊本市国民健康保険課。ただ、PR不足と、生活習慣病で治療中の人は除くなどの条件を設けたこともあり、参加者は定員30組に対し7組と少なめ。新年度は条件を見直すなどして実施する予定だ。

 下益城郡美里町もメタボリックシンドロームを対象に健康教室を実施。胴回りや空腹時血糖値など4項目について基準を超えたら1点加える方法で、参加前後のリスクの変化を見た。その結果、12回の教室終了後、参加者29人のうち9人が点数を減らすことができたという。

 「行政にできるのは運動と食生活の改善を地道に働き掛けることだけ。医療費を抑えるには、今後高額医療につながりそうな人に絞ってアプローチするしかない」と美里町保健課。新年度はメタボリックシンドロームに加え、合併症を引き起こす前の糖尿病の人を対象に健康教室を開催する予定だ。

 (熊本日日新聞2006年2月21日付朝刊くらし面)

 
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