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医薬品審査の組織改革案 論じる舞台に疑問残る
 血液製剤による薬害肝炎事件の検証と再発防止策などを話し合う「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政の在り方検討委員会」に、厚労省が医薬品の承認審査や安全対策を手掛ける組織改革案を提示した。

 海外の承認薬が、国内では未承認で使えない「ドラッグ・ラグ」を解消するため、これまでも承認審査体制見直しの必要性は指摘されていた。ただ肝炎事件の検討委が、すべての医薬品や医療機器の承認審査をする組織改革を論じる舞台にふさわしいのか。疑問の声が残る。

「大臣が全責任」

 厚労省が検討委に提出した中間とりまとめ案によると、組織改革は(1)医薬品の承認審査、安全対策、副作用被害救済などの業務を厚労省医薬食品局が一括して行い、審議会が厚労相に答申する(2)同様の業務を独立行政法人医薬品医療機器総合機構が一括して行い、機構が厚労相に答申するの二案。

 現在はメーカーから承認申請された厚労省が、医薬品医療機器総合機構に審査を委託。機構の審査結果を厚労省が薬事・食品衛生審議会に諮り、審議会の答申を待って厚労相が承認する。安全対策も機構が依頼されて実施、その通知や報告を待ち、厚労相が審議会の意見を聴き決定、実施する。

 改革案は二つとも組織を集約し、「最終的には大臣が全責任を負う」とした。違いは、集約先が厚労省か機構かだ。

 厚労省によると四月現在、国内の医薬品・医療機器の審査要員は厚労省、機構双方で三百十人、安全対策は双方で六十六人、総勢三百七十六人。一方、米国食品医薬品局(FDA)の〇六年度の職員は審査と安全対策で約二千九百人。八倍近い開きがある。

迫る“解体”

 この人的制約から、国内で〇七年度に報告された副作用等症例約三万二千件のうち、症例を個別精査したのは毎日約四十件。死亡例や未知の重篤例に限られ、海外の副作用等症例約九万五千件はほぼ手付かずだった。

 中間取りまとめ案は、安全対策要員の緊急かつ大幅な増員を訴え、少なくとも三百人程度の職員確保を求めている。

 また承認審査の職員数は〇九年度までの増員後で五百人程度必要としている。血液製剤が原因のエイズや慢性肝炎という薬害事件が相次ぎ、安全対策の強化は待ったなしの状態だ。

 しかし一方で厚労省の外局・社会保険庁(常勤職員一万九千人)の“解体”が迫る。「どこの役所だって職員の“生首”は軽々に切れない」。そう漏らす厚労省関係者もいる。

 社保庁の政府管掌健康保険部門は十月、全国健康保険協会に衣替え。政管健保の担当職員二千二百人のうち千八百人が協会に移り四百人は削減される。年金部門も一〇年一月、日本年金機構になる。常勤職員約一万七千人のうち機構に残れる数は分からない。

 医療事故で亡くなった患者の死因究明に当たる医療安全調査委員会の設置を厚労省が急いだ際も、「事故調事務局を社保庁職員の受け皿にする」(全国医師連盟)とみられていた。

 真偽は不明だが、厚労省周辺には、そう考えられても不思議ではない国民の不信感が漂う。(南里秀之)


(熊本日日新聞2008年7月15日付夕刊メディカル)
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