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周産期医療と小児救急 診療体制強化で死亡率減
宮崎県の周産期診療の第三次施設になる宮崎大付属病院の総合周産期母子医療センター=宮崎県清武町(宮崎日日新聞提供)
 産婦人科と小児科は、医療崩壊の”代名詞”と化している。ところが、この二つの診療科の体制を強化し、新生児や乳幼児の救命に力を注いでいる九州の自治体もある。

 一つは宮崎県。県内を四エリアに分けて各地区ごとに周産期母子医療センターを新設、周産期死亡率を大幅に減らした。もう一つは福岡県の久留米広域市町村圏事務組合。開業医が参加した夜間の小児救急センターを開設し、小児救急が手薄な隣県もカバーしている。

宮崎方式

 出産千人に対し、妊娠満二十二週以降の死産と生後一週間未満の新生児死亡を合計した比率を、周産期死亡率という。宮崎県は一九九四年、この数字が一〇・五と全国ワーストワンだった。県健康増進課によると、前後の時期も似たような数字で低迷していた。

 鹿児島市立病院から一九九一年、宮崎大付属病院に赴任した池ノ上克(つよむ)産婦人科教授も危機感を募らせた一人だった。池の上教授は鹿児島時代の七六年、国内初の五つ子誕生に立ち会い、主治医として百三日間接した。

 宮崎の現状打開のため県や医師会と協力し、周産期医療の全県的な底上げを目指した。これが今、「宮崎方式」と呼ばれ実を結んでいる。広い県土を四エリアに分け、各エリアに周産期母子医療センターを併設した病院(二次施設)を新設。開業医(一次施設)が手に負えないハイリスク妊婦を受け入れた。

 現在、四エリアに七病院あり、県立病院四つ、国立病院機構一つ、民間二つ。ここでも診療できない高度ハイリスク妊婦や新生児は、宮崎大付属病院の総合周産期母子医療センター(三次施設)に搬送する。

 二次、三次施設の医師は毎朝、テレビを使った症例検討会を開いて腕を磨く。開業医や助産師、看護師、保健師、自治体職員らを対象にした周産期セミナーも既に十年以上、定期的に開かれている。

 池ノ上教授の真髄は、臨床面の強化にとどまらず、後進育成にある。卒前の講義で周産期医療の具体的な症例を取り上げ、産婦人科の魅力を伝えるよう心を砕く。医局に入った若手医師には婦人科、産科、新生児を三〜四カ月間隔で経験させ、小児診療もできる産婦人科医を養成している。

 宮崎県の人口十万人当たりの産科医数は〇六年度で九・一人。全国平均の七・五人を上回る。周産期死亡率も〇六年は全国トップ水準の三・七。一九八〇年の約三分の一に減った。

夜間救急

 一方、久留米広域市町村圏事務組合(久留米市、小郡市、うきは市、大川市、大刀洗町、大木町)の小児救急センターは〇六年四月、オープンした。開業医と久留米大病院や聖マリア病院の勤務医が、聖マリア病院救急医療センターに交代で待機。毎日午後七時〜午後十一時の間、急患を受け入れる。

 当初は同事務組合の地域が対象だったが、隣接する佐賀県の鳥栖・三養基地区(鳥栖市、基山町、上峰町、みやき町)からも急患が訪れ、全体の約一割を占めた。このため〇七年四月から、患者数に応じ四市町から協力金を徴収している。

 組合によると、センターの急患は年約八千人、うち12〜13%が四市町という。久留米医師会が運営し、組合が払う支援金は年三千百万円。四市町の協力金は二百五十万円だが、組合は「県は違っても協力しあえば、税金の無駄をなくせる」と話す。(南里秀之)

(熊本日日新聞2008年7月2日付夕刊メディカル)
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