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新たな組織「全医連」 病院勤務医を主体に設立
全国医師連盟の設立集会を終えて記者会見する黒川衛代表(右)ら執行部。過密労働の勤務医をどれほど糾合できるか。これから組織の真価が問われる=東京都千代田区のFM東京ホール
 会員の平均年齢四十五歳。病院勤務医が主体になる新たな医師の組織「全国医師連盟(全医連)」が八日、東京都千代田区のFM東京ビル二階ホールで産声を上げた。

 医師の全国組織は、終戦二年後の一九四七年十一月に誕生した日本医師会(日医)以来六十年ぶり。全国の医師ら約百五十人が集まった。会員は現在約七百四十人。当面、一万人を目標にする。

 戦前、医師は強制加入で日本医師会に所属した。終戦後、旧日医は解散。新生日医が任意に設立され、医師は任意に加入した。背景に、GHQ(連合国総司令部)の“誘導”があった。一方、全医連は、学会やインターネットなどで意気投合した有志医師が自主的に立ち上げた。

代議制で老朽化

 新生日医設立以降の医療史を、全医連代表に就いた黒川衛・真珠園診療所勤務医(長崎県西海市)は、日医を開業医中心の「ギルド組織」、一県一医大体制を大学病院(医学部教授・学会重鎮)を頂点とする「アカデミア」と表現。「これらは歴史的位置付けを持っていた」としながらも、「二重、三重の代議制によって老朽化し、変容した医療崩壊の時代に対峙し解決の旗を掲げているか疑問」と断じた。

 この反省から全医連は会員の全員投票で代表を選出。代表が執行部を指名した。会員数に応じて都道府県医師会に配分する代議員の選挙で会長を決める日医との違いを際立たせた。黒川代表は「現場の声から情報発信する組織が理想」と話す。

 当面の方針は(1)病院勤務医の診療環境の改善(2)正確な医療情報の発信(3)救命治療中事故の部分刑事免責と患者家族の救済制度設立。中でも診療環境の改善は待ったなしの状態。記念講演した北海道大大学院医学研究科の江原朗・客員研究員は、日本小児科学会が各都道府県の二次医療圏に一カ所設置を目指す地域小児科センターの認定基準は勤務医に過酷と指摘、「開業医を巻き込みセンターの常勤医を十人から十五人にする必要がある」とした。

ドクターズユニオン

 全医連は近く勤務医の労働実態を調査する一方、医師個人が加入する医師職労組「ドクターズユニオン」の結成を進める。過労でうつ病になり自殺して労災認定された東京都内の小児科勤務医の妻も講演し、「あなたの子どもの命を、疲れ切った小児科医に任せられますか」と訴えた。

 今や医療は、政治が解決すべき最大テーマの一つだ。全医連の姿勢は「どの政党にも中立的な立場で、日本の医療を守ろうと考える議員とは協力する」(三輪高之・執行部広報担当)という。黒川代表らは超党派の「医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟」などの会合に出席。医療制度改革や医療事故調の第三次試案などに提言した。

 ただ設立集会に参加した国会議員は皆無。披露された政治家の祝電も民主党の鈴木寛参院議員と国民新党の自見庄三郎参院議員の二人。異例なほど“地味”だった。集会後、執行部でドクターユニオン結成を担当する角田鉄太郎クリニック・サザンウィンド所長は「現場で最も忙しい医師は、こうした集会には来られない。全医連の存在自体も知らないかもしれない。こうした人達に一人でも多く働き掛けていきたい」と語った。その冷静な分析力で未組織の医師らをどう糾合するか。本番はこれからだ。(南里秀之) (南里秀之)

(熊本日日新聞2008年6月18日付夕刊メディカル)
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