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| 医療事故調3次試案 捜査にも資料 現場は賛否 |
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| 医療事故調設置の第3次試案をまとめた厚労省の専門家検討会。厚労省は関連法案を今国会に提出する考えだが、医療現場は賛否が二分している。 |
医療事故が疑われ、亡くなった患者の死因を究明する、第三者機関「医療安全調査委員会」(仮称、通称・医療事故調)を設置する第三次試案が公表された。
厚労省は国民の意見を募った後、今国会に三次試案を下敷きにした関連法案を提出する考え。しかし三次試案は、事故調の報告書を捜査当局なども使えるとしており、臨床現場は賛否が二分している。
■“異例の速さ”
医療事故調は、航空機や鉄道の事故原因を解明する国交省の航空・鉄道事故調査委員会の医療版。二〇〇〇年前後から医療事故の民事・刑事訴訟が急増し、訴訟リスクの高い診療分野の医師不足や積極的治療を避ける委縮医療につながった。
〇五年二月、福島県立大野病院(大熊町)の医療事故が、この傾向に拍車を掛けた。帝王切開中の妊婦の子宮に胎盤が癒着し、産婦人科医が取り除いている最中に大量出血。輸血を追加し子宮ごと摘出したが、妊婦は止血中に死亡した。医師は業務上過失致死罪と医師法が定める「異状死の届け出義務違反」容疑で逮捕、起訴された。裁判は一審の論告求刑公判が三月に開かれ、今夏にも判決の見通しという。
問題になったのは癒着胎盤に対する処置。胎盤除去か、子宮ごと摘出かの選択肢があるが、判断は極めて難しいという。その医療行為の結果、妊婦が死亡。医師は業務上過失致死罪という“犯罪”に問われている。
もともと産婦人科医や小児科医などは訴訟リスクが高く、なり手が減っていた。厚労省は医療事故調設置を前倒し。〇七年四月に検討会を開き、年末までに一次案、二次案を相次ぎ公表。“異例の速さ”で三次案をまとめた。
■委縮助長も
三次案の概要は、事故調は中央委員会と全国八つの地方委員会で組織。事故は、事例毎に法医学や臨床医、法律家らを集めた調査チームが原因究明する。医療過誤の疑いや医療行為による患者の予期せぬ死亡時は、医療機関に事故調への届け出を義務付け。代わりに医師法に基づく警察への通報を免除する。
遺族側にも事故調への調査依頼を認め、その場合、事故調は警察に通報する。事故調が事件性を疑い、警察に通報するのも可能。通報の対象は(1)故意、過失が認められる(2)過失による事故を繰り返す医師(3)カルテなどの改ざんや隠蔽(いんぺい)が認められるのいずれか。調査報告書は遺族と医療機関の双方に示す。警察の捜査や民事訴訟、裁判外紛争処理などの資料にも使える。
二次試案公表後、日本医師会は四十七都道府県医に事故調創設に関するアンケートを実施し、「大方の医師会が理解を示した」として創設を支持。その後作成された三次試案で医師法による届け出義務違反が刑事罰から行政処分になり、地方委員会での医師の黙秘権が認められた。三次試案には内科学科、外科学会などが賛成。産婦人科学会や消化器外科学会、麻酔科学会などは、警察が調査報告書を捜査に使えることなどから反対姿勢を堅持、臨床現場は分裂状態だ。
六月四日結成される勤務医の集まり全国医師連盟の黒川衛・同連盟準備委世話役(長崎県西海市・真珠園療養所勤務医)はこう訴える。「医療行為には本来、未必の故意の要素があり、それでも治療を強いられる。その医療行為の過失責任を問う現行の刑事訴訟体系は医療になじまず委縮医療を助長する。善意の予見回避義務違反は免責してほしい」 (南里秀之)
(熊本日日新聞2008年5月7日夕刊メディカル)
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