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医療保険制度見直し 不可欠な財源の再検討
社会保障の在り方を含め「経済財政改革の基本方針2008(骨太の方針2008)」を決定する政府の経済財政諮問会議
 政府が六月に作成する「経済財政改革の基本方針2008(骨太の方針2008)」に対し、日本医師会(東京都文京区)が公的医療保険など社会保障財源の検討を提言した。大企業の会社員らが入る健康保険組合の集まり健康保険組合連合会(東京都港区)も全国千五百二組合の二〇〇八年度予算の早期集計結果を公表。高齢者医療への財政支援で全組合の約九割が赤字に転落し、中小企業の社員らが加入する政管健保の支援は不可能と訴えた。

保障か保険か

 中医協(中央社会保険医療協議会)を舞台に対立する診療側と患者側の代表格が、四月に導入されたばかりの医療制度改正で偶然、“共闘”して医療保険の再編を政府・与党に迫る形になった。

 日医は十六日、社会保障財源の検討を発表。「公的医療保険の財源確保は、保険財政の再構築と国の全体的な歳出改革を同時並行で検討すべき。新たな財源の検討の際は、年金、医療、介護をそれぞれ保障(税)でみるか、保険でみるか。整理する必要がある」。中川俊男常任理事は踏み込んだ。

 そのうえで(1)被用者保険の事業主負担を5%アップする(2)被用者保険間で異なる保険料率を、平均年収が最低の政管健保の料率に合わせる(3)保険料を徴収する年収の上限を上げる、とする公的医療保険の見直しを提案した。

 このうち被用者保険の保険料率は、組合健保と地方公務員共済各7・3%、私学教職員共済6・5%、国家公務員共済6・4%を、すべて政管健保の保険料率8・2%に一本化する。

 保険料の徴収は政管健保で上限は千九百九十二万円。年収三千万円でも保険料は年収千九百九十二万円として計算するため、保険料は百六十四万円。保険料率は5・4%どまり。年収五百万円の場合、保険料率は標準の8・2%。徴収上限を三千万円にすると、保険料率は8・2%、保険料は二百四十六万円になる。

 商店主や医師などが入る国民健康保険は、所得四百九十万円で保険料上限の五十三万円。これを所得八百万円まで所得比例にすると、保険料は最大八十四万円に。

「支援の余裕ない」

 日医の試算では、これらを実行すると総額二兆九千億円の増収という。「国には二〇〇六年度末で緊急の使途がない財源が百六兆五千億円もある。国民に負担を求める前に、透明感を高め説明する義務がある」。中川常任理事は指摘した。

 一方の健保連。老人保健制度に代わる後期高齢者医療制度創設と、退職者医療制度の撤廃で保険財政が一気に悪化。〇八年度の全体の赤字額は六千三百億円を超え、過去最大になるという。

 特に六十五〜七十四歳の前期高齢者の医療費は、退職者医療制度の撤廃によって、会社員OBだけでなく、国民健康保険の被保険者と被扶養者分の負担も背負う。

 さらに厚労省は、医師の診療報酬引き上げのため政管健保への国庫負担一千億円を削減。健保組合に七百五十億円肩代わりさせる特例法案を国会に提出している。「被用者保険同士の相互扶助」(舛添要一厚労相)との考えからだが、健保連の対馬忠明専務理事は「国に代わって政管健保を支援する余裕はない」。

 その政管健保も十月、社会保険庁の手を離れ、非公務員型の国民健康保険協会が都道府県単位で運営する。組織が事実上細分化されるため、地方の道県を中心に保険財政の弱体化を心配する声が上がっている。(南里秀之)

 (熊本日日新聞2008年4月30日付夕刊メディカル)
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