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| 後期高齢者診療料 届け出・算定拒否広がる |
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| 後期高齢者医療制度撤廃運動を進めるため、茨城県医師会が作成したポスター。会員1400の医療機関に張られているという
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四月一日に始まった後期高齢者医療制度が混迷を深めている。野党四党や五百を超える地方自治体議会のほか、医療現場を預かる医師会の間にも制度撤廃や、制度導入に伴い新設された後期高齢者診療料の届け出・算定拒否が広がっている。
「この制度は、高齢者に大きな負担をもたらし、医療を制限する委縮医療」。三月末、茨城県医師会(水戸市)は都道府県医師会レベルでは全国で初めて制度撤廃を求める声明を発表した。
■「命の差別」
「この国を建て直してきた人たちに、国は『早く死ね』と言うのか。命の差別だ」。茨城県医の原中征勝会長は怒りをあらわに訴える。茨城県医の会員は約二千六百人。このうち勤務医を除く会員の千四百施設が「みなさん、こんな高齢者いじめの制度が許せますか!」と書かれたポスターを張り、来院者に制度撤廃の署名を集めている。十五日には、十都県の医師会でつくる「関東甲信越医師会連合会」の席上、原中会長が撤廃運動への参加を呼び掛けた。
さらに茨城県医は「後期高齢者診療料」にも照準をあて排斥運動を進めている。この診療料は、糖尿病や高血圧といった慢性疾患の一つを「主病」とする七十五歳以上の高齢者の診療計画書を作成し、継続的な外来診療をする医師を「高齢者担当医」として月額六千円(患者負担は六百円)の報酬が支払われる。
後期高齢者医療制度という他の医療保険と切り離した制度が生まれた背景には、国民医療費約三十一兆五千億円(〇三年度実績)のうち約37%を七十五歳以上の老人医療費が占めている姿がある。今後、一九四七年から五一年ごろにかけて生まれた“団塊の世代”が続々と高齢者の仲間入りする。「確実に国の財政は破たんする。ここは老人医療費を削る以外にない」(財務省関係者)というわけだ。
削減手法として、現行の出来高払いを定額制に切り替え。しかも「一人の後期高齢者の主病は一つ。一人の患者を一つの医療機関(一人の開業医)が診る」(保険局)とした。これが後期高齢者診療料の基本的な考え方になっている。
■制度の根幹
医療機関がこの診療料で算定するためには、社会保険事務局に届け出る必要がある。そのためには医師会などが主催する研修会で慢性疾患の症状を学ぶのが条件。茨城県医は(1)会員の医療機関は診療料を届け出ず、報酬は出来高払いで算定する(2)届け出のための研修会は開催しない、と申し合わせた。制度の根幹を狙い撃ち、事実上、機能不全状態に追い込もうとしている。
この戦術は都道府県医師会レベルでは秋田県医(秋田市)も「六千円の定額内に収めるため、医療機関が必要な検査をしない恐れがある」として届け出拒否の方針を決定。宮城、千葉、京都、大阪、岡山、広島、佐賀、長崎、宮崎などの府県医も追随し、さらに拡大しそうな勢い。医療機関が既に届け出ていても、算定は出来高と選択できるため、全国に約二百九十ある郡市区医師会レベルでも算定拒否を訴える医師会が増えている。
例えば青森県。青森市、弘前市、八戸市、三戸郡、上十三(かみとさん)、南黒(なんこく)の五医師会が算定拒否を打ち出した。「高齢者はいろんな持病がある。一人の医師の一元管理は到底無理。医学は高度化、専門化しており時代逆行」。青森市医師会の女性事務局員は指摘する。
(南里秀之)
(熊本日日新聞2008年4月23日付夕刊メディカル)
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