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社会保障費の圧縮枠撤廃 給付と負担の在り方探る
 社会保障のあるべき姿を探るため、政府が設置した社会保障国民会議の初会合。給付と負担の関係の落ち着かせ方が問われる=1月29日 首相官邸
  任期満了に伴う日本医師会(日医)の会長選挙は、現職の唐澤祥人・東京都医師会長が兵庫県医師会の病院勤務医を破り再選された。唐澤氏は「医療費抑制政策が続いていけば、わが国の社会保障は維持できないことへの理解を政府、与党に求めていく」と医療費抑制策の転換を訴えている。

 日医の会長選は二年に一度。同じ二年に一度の診療報酬の改定時期と重なり、改定結果が選挙に反映されてきた。〇八年度改定は医師の収入に直結する「本体部分」(技術料など)が0・38%アップと八年ぶりのプラス改定。会長選は事実上、唐澤氏への信任投票だった。

 組織率60%

 戦前、日本医師会に医師は強制加入だった。戦後の一九四七年、社団法人になった。会員は二〇〇七年十二月現在、十六万五千八十六人(開業医八万四千八百七十九人、病院勤務医八万二百七人)。組織率は全医師の約60%。会長選は会員の直接投票ではなく、定例の代議員会が舞台。代議員は、四十七都道府県医師会に対し会員数に応じ配分される。熊本県医師会の代議員は六人。立候補制だが、「開業医に比べ勤務時間など制約の多い勤務医のなり手が少ない。最近は開業医も経営が厳しく、なり手が減っている」(熊本県医師会事務局長)という。

 会長選の結果は、唐澤氏三百四票、病院勤務医二十七票、白票二十票、無効一票だった。病院勤務医は兵庫県医師会の役員経験もなく突然の立候補。白票などを含め五十票近くの非唐澤票は、唐澤執行部への不満票と受け止められている。

 唐澤氏は〇六年四月の会長選で、現職の植松治雄・大阪府医師会長を破り会長に。植松氏は、当時の小泉政権の郵政民営化などに真っ向から反対。〇六年四月の診療報酬改定は3・16%のダウン。過去最大の下げ幅だった。唐澤氏は自民党との関係修復を掲げて植松氏に競り勝った。

 給付と負担

 〇八年度診療報酬改定は唐澤体制発足後初の改定だった。一方、自民党は〇七年夏の参院選で惨敗。安倍政権退陣後に誕生した福田政権になって潮目が変わり、診療報酬アップを引き出した。

 ところが、昨年八月の〇八年度予算の概算要求基準で社会保障費は対前年度二千二百億円減という「骨太方針2006」の圧縮枠がはめられていた。このため診療報酬の上げ幅もわずか。再診の外来患者に対する外来管理加算の加算条件に五分ルールを導入。診察時間が五分以上ないと加算できないとした。受診せず薬だけもらう患者を断る診療所も現れている。

 「骨太方針2006」で社会保障費削減は一一年度まで続ける計画で、次回診療報酬改定の一〇年度は大幅抑制もありうる。医師の収入減は、医師だけの問題でなく、勤務医の労働環境悪化や医師不足などの形で国民生活を直撃する。

 「〇九年度予算はマイナスシーリングをやめたい」。二月、舛添要一厚労相は医師不足対策の財源確保を念頭に圧縮枠の撤廃を公言。日医の唐澤会長も「シーリング外しを最大の課題にする」と呼応する。政府は一月、社会保障国民会議を設置、医療や介護などは「サービス保障分科会」であるべき姿を探るという。

 ただ抑制枠が外れると、国の財政支出は増える。給付と負担の在り方をどうするか。道路特定財源の一般財源化や消費税率アップといった税制改革が政治日程に上るのは容易に想像できる。政府の経済財政諮問会議が六月に決める「骨太方針2008」が当面の焦点になるとみられる。

 (熊本日日新聞2008年4月9日付夕刊メディカル)
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