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特定健診・特定保健指導(中) 医療費カットは可能か
 メタボリック症候群(メタボ、内臓脂肪症候群)に着目し、四月に創設される「特定健康診査(特定健診)・特定保健指導」。実施を義務付けられる市町村国保や健康保険組合(健保組合)など医療保険者には、“慣らし運転”している保険者も少なくない。

 市町村国保では厚労省が国保交付金を財源に、各都道府県の希望市町村に経費を配分、特定健診・保健指導を先取りした国保ヘルスアップ事業に取り組んでいる。熊本県でも〇七年度、全四十八市町村のうち半数の二十四市町村が試みた。

 ■2兆円カット

 特定健診は従来の住民検診などに腹囲測定を追加。厚労省のメタボ診断基準(腹囲・男90センチ、女85センチかつ血圧、血糖、脂質のうち二つ以上異常)で「メタボ該当者」と「予備軍」をえり分ける。

 特定保健指導の対象は該当者と予備軍。医師、保健師、管理栄養士らが該当者に「積極的支援」、予備軍に「動機付け支援」をする。積極的支援は面談して食事や運動の目標を決め、電話や電子メールで三カ月以上指導する。動機付け支援は原則面談による指導が一回。

 健診対象者(四十歳〜七十四歳)のうち会社員や公務員など被用者保険加入者は、職場健診を受けると特定健診の受診者とみなす。ただ被用者保険加入者の被扶養家族が受診を強く求められる。国保加入者や被扶養家族には受診券が送られる。

 厚労省医療費適正化推進室は、四月開始時点の受診者数を約五千六百万人(うち熊本県約二十七万人)と推計。二〇一二年度の各医療保険加入者と被扶養家族の健診実施率の目標を平均70%と設定。該当者と予備軍を減らせば、一五年度に二兆円の医療費カットが可能とのシナリオを描く。

 ■“患者”大量発生

 ところが、保健指導対象者や医療機関への受診勧告基準を厳しくすると、医療費の増大につながりかねない、との指摘が根強い。例えば血液検査の血清総コレステロール値(コレステロール)の基準値。研究や調査が進むにつれ次々に変わった。日本では当初、二五〇mg/dlだったが、海外の大規模臨床試験の結果などから二二〇mg/dlに下がった。最近は、善玉コレステロール値と悪玉コレステロール値が問題視され、血清総コレステロール値は“無視”されている。

 基準値が二五〇mg/dlから二二〇mg/dlに下がった半年ほど後、国内の製薬メーカーが高脂血症治療薬を発売した。日本人は二五〇mg/dl〜二二〇mg/dlの範囲の人が多いため、この治療薬は一気に「メガドラッグ」に成長した。基準値見直しと新薬発売の時期が前後したのは偶然の一致かも知れないが、さまざまな憶測を呼んだ。

 それまで「正常」だった人が「異常」と判定され、医療機関を受診する。基準値の新設と見直しが、“患者”の大量発生につながり、医療費を押し上げるわけだ。

 ただ医療費のアップ要因と分かっていても、国が“及び腰”になっている予防策がある。禁煙だ。厚労省は「保健指導対象者には喫煙の有無や喫煙歴を尋ねて、他の疾患との兼ね合いも考え禁煙を勧める」(医療費適正化推進室)と話す。しかし非喫煙者が、タバコの副流煙を吸ってしまう受動喫煙による健康被害も含め、禁煙を積極啓発する姿はみえてこない。

発症初期で皮膚表面


(熊本日日新聞2008年2月27日付夕刊メディカル)
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