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| 開業医の再診料据え置き 勤務医の待遇改善に課題 |
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中央社会保険医療協議会(中医協、厚労相の諮機関)が、二〇〇八年度診療報酬改定で焦点の一つだった開業医の再診料据え置きを決めた。開業医の再診料を引き下げ、病院勤務医の待遇改善に回す厚労省の計画は不発に終わった。
背景には、次期総選挙をにらみ、政府・与党が開業医主体の日本医師会(日医)の支援を取り付ける狙いがあった。一方で医師不足が深刻化する勤務医などの待遇改善も待ったなしの状態。板挟みになった厚労省はやり繰り算段の財源確保に終始した。
■「公益側裁定」
再診料は、同じ病気で二回目以降の診察時に必要。現在、診療所(開業医、病床数二十床未満)七百十円、勤務医五百七十円(病床数二十床以上〜二百床未満)。開業医が百四十円高い。前回の〇六年度診療報酬改定では開業医が高く、勤務医が低かった初診料を二千七百円に統一した“実績”から、厚労省は当初、再診料を引き下げ、浮かせた財源を、勤務医や産科医、小児科医に回す考えだった。
ところが日医は「再診料は医師の無形の技術を評価する項目」と猛反発。昨年七月の参院選で惨敗した自民党が日医を支援し、初診料を統一した小泉政権時代とは様相が一転した。自民党は次期総選挙、日医は四月の会長選挙を意識して“共闘”した。
半面、全国的に深刻化している勤務医対策も欠かせない。一月三十日の中医協総会に、診療側でも支払側(患者側)でもない、中立的立場とされる公益側が(1)国民の納得(2)医療現場の納得(3)診療報酬という技術的なツールを使いながら社会の要請に応える、の三点から判断する案を提示した。「勤務医対策のため、さらなる財源シフトが必要で、診療側に最大限の協力を求める」として、勤務医対策に必要な財源の規模や確保手段も盛り込んだ。日医・自民党に押された厚労省が「公益側裁定」で妥協を探ったのは想像に難くない。
■伝統的な手法
結局、中医協は「再診料は開業医は据え置き、勤務医は引き上げ」という格差縮小で落ち着いた。中医協に提出された資料では、産科・小児科・病院勤務医対策への配分は約千五百億円。一方、財源は診療報酬の本体部分(医師の技術料など)アップの医科分一千百億円(〇・四二%相当)が大半。残る約四百億円は開業医に“負担”を求める。
具体的には、「七十五歳以上の後期高齢者の再診料は病院と診療所を統一する」「軽微な治療に伴う報酬は初診・再診料に包括し廃止する」「高血圧治療など計画的な医学管理に上乗せしている外来管理加算を引き下げる」といった方法を積み上げてひねり出す。
厚労省の試算では、開業医の再診料を十円引き下げると、百億円の財源を調達できるという。四十円の引き下げで四百億円、百四十円引き下げて「病診統一」なら、千四百億円確保できる計算になる。
しかし閉鎖に追い込まれている診療所も少なくない。大都市では過当競争による経営難や不採算、地方では後継者不在が主因という。かつては経営も考えざるを得ない開業医を嫌って病院勤務医が増えた。最近は過密労働の勤務医を嫌がり、開業医に転出する医師が多い。
少子高齢化と所得格差で、国民皆保険制度がほころび始めている。全体のパイ(医療費の公費負担)が先細りし、「診療報酬による政策誘導」という厚労省の伝統的な手法が、いつまで通じるか。次回の一〇年度診療報酬改定に向け、厚労省の背負う荷物は重い。
(熊本日日新聞2008年2月13日付夕刊メディカル)
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