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高齢者担当医 総合的能力に公的資格
発症初期で皮膚表面
4月の後期高齢者制度創設以降は75歳を境に患者の初診料と再診料が異なる可能性がある。写真は80代のお年寄りも混じった高齢者健康体操。参加者たちは「医者にかからないようにしたい」と口をそろえる=熊本市馬渡1丁目の市お達者文化会館
 十六日に再開された中央社会保険医療協議会(中医協)で、厚労省は四月の後期高齢者制度のスタートに併せ高齢者担当医制度(仮称)の導入を提案した。

 この制度は、「複数の疾患を持つ高齢者を一人で診ることができる開業医を、総合的な診療能力を持つかかりつけ医と認定し公的な資格を与える」という厚労省の構想が出発点だ。小泉政権の医療制度改革によって地域医療を支える医師、特に病院勤務医が不足する中で浮上した。

■「地均し」

 その後、厚労省は「狭い専門領域の専門ではなく、内科、小児科等の幅広い領域で総合的かつ高度な診断能力を有する診療科を『総合科』とし国の個別審査で資格を与える」と踏み込み、総合医と非総合医は診療報酬を別立てする案を打ち出した。

 これに対し日本医師会(日医)は「『かかりつけ医』は患者側からの自然発生的なもの。行政が患者に選択を強制するような性格ではない」と反発。医師を総合医として厚労省が認定することは認められないと一蹴(いっしゅう)。背景には「開業医の分断、分裂につながりかねない」(熊本県医師会役員)という警戒感があった。

 医師は、医師国家試験に合格しないとなれない。ただ外科、内科といった診療科目のどれを専門にしているかを、対外的にアピールする際は、関係学会とのつながりが大切になる。例外は麻酔科。厚労省の試験に合格して、初めて麻酔科を標榜(ひょうぼう)できる。

 他の診療科目は、学会が独自の試験や研修で学会認定医を決め、医師が専門医の証しとして認定医を標榜している。そこに厚労省が入り込める余地はほとんどない。「厚労省の役人は、学会主導の資格試験や研修が面白くない。認定医試験を実施する公益法人を設立して、そこに理事で天下りする。総合医創設の真の狙いは、その辺りでしょう」。独立行政法人が経営する総合病院の勤務医はウンザリした表情で続ける。「高齢者担当医は総合医制度を導入する地均し。日医の反発が強かったので、一端譲ったのでしょう」

■「厄介者扱い」

 高齢者担当医は、七十五歳以上(六十五歳以上〜七十四歳未満で一定の障害を有する高齢者を含む)の主たる慢性疾患に関する“主治医”になり、年間の診療計画書を作成し全身的な症状を管理する。担当医は原則、開業医。担当医になると、患者の過去の病歴や服薬歴、福祉・介護サービスの利用状況などを、初診の際に詳しく知る必要があるとして、厚労省は現行二千七百円の初診料アップも提案した。

 一方で再診時は継続的な指導、管理が診療の中心になるとして、再診料は七十五歳未満の患者とは別立てにして引き下げる。患者の初診料と再診料は、満七十五歳を境に違ってくる。さらに慢性疾患の高齢患者には、厚労省は開発医薬品よりも安価な後発医薬品(ゼネリック医薬品)の普及を推進している。

 熊本市の診療所で診察待ちする男性(84)は伏し目がちに話す。「医療保険料は年金から強制徴収(天引き)され、受けられる医療の質は下げられる。年寄りは国からまで厄介者扱いされる時代になりました。残念です」。男性は、第二次大戦中、中国大陸から南太平洋を転戦したという。

(熊本日日新聞2008年1月30日付夕刊メディカル)
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