



|
| 75歳以上の医療保険 2008年から切り離し運用 |
 |
 |
 |
七十五歳以上の後期高齢者を対象にした、新しい医療保険制度が二〇〇八年四月に始まる。増加する高齢者の医療費を切り詰めるため、他の医療制度と切り離して運用するが、その内容はまだよく固まっていない。
この制度は、〇六年六月に成立した医療制度改革関連法で導入される。保険者は、都道府県ごとに全市町村が参加する特別地方公共団体の広域連合。保険料は都道府県単位で決まる。都道府県別の医療費の差が、保険料に反映させる仕組みにし、医療費の削減を競わせる狙いがあるとされる。
■保険料9月以降決定
厚生労働省の調べでは、二〇〇四年度の高齢者一人当たりの年間医療費は、全国平均七十八万二百六円。最高は福岡県の九十六五千四百十五円、最低は長野県の六十三四千八百七十二円。最高、最低で一・五二倍の開きがある。熊本は十三位の八十四万円。これをベースにすると、長野の保険料は低く、福岡は高くなる。ただその差が単純に一・五倍になるか、どうかは不明という。
新制度移行後の焦点の一つは、被保険者が支払う保険料。現在、サラリーマンの子供の被扶養者になっている高齢者は、子供の健康保険組合などに入っており、保険料を負担する必要がない。
ところが新制度になると、公的年金の収入などに応じた保険料を支払わないといけなくなる。保険料は、一人当たりの定額部分と所得に応じた所得比例部分の二本立て。徴収方法は原則、公的年金からの天引き。現在の介護保険料の徴収方法と同じだ。
保険料は各広域連合が連合議会の承認を得て決める。ほとんどの広域連合は九月以降、保険料を盛り込んだ関連条例案を作成し議会に提案するが、保険料は全国平均六千円台とみられる。
■入院医療費の削減
ただ急激な負担増を回避するため、新制度加入後二年間は、本来支払うべき保険料の最大半額になるよう保険料を軽くする。
保険料が一般より軽くなる分、医療内容も違ってくるのか。厚労省は在宅医療の推進を打ち出し、高齢者が亡くなる場所を病院から自宅に移したがっている。入院医療費の削減を念頭に置いているのは間違いない。
このため自宅近くの開業医の往診などを受けながら、在宅や介護施設などで療養する方向に誘導するとみられる。さらに複数の慢性疾患を持つ患者には、安価な後発医薬品の使用をさらに勧める可能性が高い。
治療後の窓口負担が、どうなるかも気掛かり。七十五歳以上は、これまで通り、かかった医療費の一割を負担する。所得が現役世代並みに多いと判定された高齢者は、現役世代と同様の三割負担になる。
■56万円の上限設定
ただ医療保険と介護保険の自己負担の合計額には上限を設定し、歯止めをかける。現在、医療と介護はそれぞれ一カ月当たりの負担上限額などが決まっている。〇八年四月からは年間合計額にも五十六万円(高額所得者は六十七万円)の上限を設定、医療と介護の利用者の負担が著しく高額にならないようにする。
仮に利用(支払い)額が五十六万円を超えた場合、役所に返還申請すると超えた分が戻ってくる。また高齢者のうち七十歳〜七十四歳の窓口負担は原則一割から二割に倍増。現役世代並みの所得者は三割負担だ。独立した医療保険制度が、後期高齢者にとって“福音”かどうかはまだ分からない。
(熊本日日新聞2007年6月13日付夕刊メディカル)
|
|
 |
 |
 |
|
|