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国立大付属病院の経営悪化 診療報酬改定が追い打ち
相次ぐ建物の新増築や医療機器の導入が国立大付属病院の経営を圧迫している。写真は、完成した西病棟(右手前)、中央診療棟(奥)に続いて工事に入った熊本大付属病院の東病棟=熊本市本荘1丁目
 国立大学が二〇〇四年度に独立行政法人に移行し、今年三月末で丸四年になる。移行に伴い付属病院も、国からの財政支援が手薄になり、経営改善を強いられている。

 ただ移行前に財政投融資資金などを借り入れ、建物などの施設整備を進めていた付属病院は債務もそっくり引き継いだ。半面、移行の前年度に導入された入院医療費の包括評価方式による支払いや、移行後の診療報酬引き下げで、頼みの医業収入の増加は見込めない。

 実質赤字13億円

 「うちは一九九九年度に病院の再開発に着手した。まず西病棟、次ぎに中央診療棟を建てた。最近、東病棟の基礎工事に入った。中央診療棟のオープンに合わせ、最新の医療機器も導入した」。文部科学省が初めて公表した国立大付属病院の〇六年度財務諸表で、全国四十三病院のうち実質赤字額が十三億円と最多だった熊本大付属病院は、膨らんだ赤字の背景をそう説明する。東病棟の完成後は、臨床研究棟(医局)の移転新築、その後は管理棟の移転新築と続き、再開発が終了するのは十年後の二〇一八年度と見込んでいる。

 同病院事務部によると、この間の借金返済額は最高三十億円台、最低十億円台の間で推移。単年度収支の黒字転換は容易ではない。

 従来、国立大の医学部と付属病院の収入と支出の関係はあいまいだった。それが独法化でセグメント(事業所)区分による財務内容の公開に切り替わった。医学部は国の支援で教育と研究に取り組み、付属病院が医業収入で稼いだカネで法人の借金を返済していく、という計画だった。

 採算性を重視

 ところが実態は違った。入院医療費の包括評価方式は、医療費の定額制にほかならず患者の入院日数が短縮、減収になった。〇六年度の診療報酬のマイナス改定が追い打ちをかけた。当然、コスト意識が強くなり、ベッドの稼働率は上がり、検査も必要最小限になったという。

 熊本大付属病院の赤塚善一・事務部長は言う。「大都市と違い、熊本のような地方では、土地に唯一の大学病院が難病患者の治療など、不採算が明らかな分野を引き受けないと、どこの病院もやらない。厚労省の医療制度改革はあまりに採算性を重視し、医療現場が分かっていない」

 そんな悩みを抱えるのは熊本大ばかりではない。全国の国立大でつくる国立大協会は(1)国立大学法人の教育・研究の基盤となる運営費交付金の1%削減の撤廃(2)国立大付属病院に対する経営改善係数の適用見直しなどを文科省と厚労省に要望している。運営費交付金の1%削減は、政府が〇六年に閣議決定した「骨太の方針2006」に盛り込まれ、二〇一〇年度まで続く。

 この1%削減のほか、「2%ルール」と呼ばれる経営改善係数の適用が付属病院の経営を圧迫する。〇四年度の医業収入を基準にして、その2%相当の運営交付金を〇九年度まで毎年度減額するルールだ。

 熊本大付属病院の場合、〇四年度の医業収入は百四十億円。その2%に当たる二億八千万円の運営費交付金が、毎年度カットされている。「カネもなく、医局制度の崩壊で医師の確保もままならない。今のままなら、地方の国立大付属病院は、立ち行かなくなるだろう」。赤塚事務部長の表情は厳しい。

 (熊本日日新聞2008年1月16日付夕刊メディカル)
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