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診療報酬引き上げ 財源は民間が肩代わり
来年度予算案をめぐり事前折衝する舛添要一厚労相(左)と額賀福志郎財務相。この中で来年4月の改定で診療報酬本体部分の0.38%アップが決まった=今月18日、財務省大臣室
二〇〇六年四月の改定で初めて減額された診療報酬の本体部分(医師の技術料など)が、医師不足解消を理由に、〇八年四月の改定で八年ぶりに引き上げられる。ただアップ率は〇・三八%。薬価部分を含めた全体では〇・八二%減で四回連続の引き下げ。本体部分引き上げのため、国が負担すべき財源を民間に肩代わりさせるなど、政府・与党が次期総選挙を念頭に医師会などに配慮した姿勢が随所ににじむ。
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年明けから“決戦”
診療報酬は、保険医療機関の医療サービスに対し、患者が加入する保険者が支払う対価。決められた保険診療の範囲と内容に従い、個別の診療行為の価格が定められている。医療機関は、範囲と内容、価格を記入した診療報酬明細書(レセプト)を作成、患者の自己負担分を除き、保険者に代金を請求する。明細書では価格は金額ではなく、一点を十円に計算する点数で表す。
診療報酬体系は、厚労相が中央社会保険医療協議会(中医協)に答申。諮問を経て、厚労相が診療報酬点数を告示する。医科、歯科、調剤の三つがあり、診療報酬の区分数は医科約千七百、歯科約三百(医科点数表準拠分を除く)、調剤約十。保険適用薬を記す薬価収載薬剤の品目数は約一万四千に上る。
診療報酬の総額(全体)は、年末の予算編成で社会保障関係費の枠内で決定。その後、厚労相が来年一月十六日、診療報酬点数の改定案の作成を中央社会保険協議会(中医協)に諮問。中医協は二月中旬、改定案を答申する。この改定案で区分別の配分比率が決まるため、医療関係者には年明けからが“決戦の場”になる。
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助け合いで国費削減
政府は〇六年七月に閣議決定した「骨太方針2006」に五年間で社会保障費約一兆一千億円の削減を盛り込んだ。削減額は単年度二千二百億円。厚労省は〇八年度予算でも同額のカットを迫られていた。
このため中小企業のサラリーマンと家族が加入する政府管掌健康保険への国負担金を一千億円削減。大企業のサラリーマンと家族が入る健康組合管掌健康保険が七百五十億円、公務員らの共済組合が二百五十億円それぞれ肩代わりし国負担分を穴埋め。「被用者(サラリーマン)保険間の助け合い」(舛添要一厚労相)と理屈付けた。
次いで公定価格と実勢価格の差がある診療報酬の薬価部分を1・2%引き下げで約九百六十億円、安価なジェネリック医薬品の普及拡大で約二百二十億円それぞれ国費をカット。この二つを軸に本体部分のアップ財源をひねり出した。
小泉政権の医療制度改革は、七月の参院選で与党惨敗後、福田政権が軌道修正。来年四月導入の後期高齢者医療制度は、七十五歳以上の保険料支払いが義務化されるが、現在、被用者保険や国民健康保険の被扶養者で保険料を払っていない高齢者は支払いを凍結。七十歳〜七十四歳の自己負担増も先送りした。
本体部分アップで、厚労省は当初、病院勤務医に比べ労働実態が緩やかとされる開業医の初診・再診料を引き下げて回す考えだった。決着したアップ率0・38%は、日本医師会が求めていた5・8%を大幅に下回った。
ただ開業医の初診・再診料引き下げを阻止したことは、開業医が主力会員の日医には小さくない。さらに保険診療と保険未適用の診療を組み合わせた「混合診療」の全面解禁も、政府の規制改革会議の最重要課題だったが、第二次答申に漏れて日医の反対が通った。
(熊本日日新聞2007年12月26日付夕刊メディカル)
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