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「被用者保険」(下) 不透明さ増す一元化
被用者保険加入者の保険負担分は、受診した医療機関所在地の診療報酬支払い基金が審査して医療機関に支出する。写真は熊本県社会保険診療報酬支払基金=熊本市本荘町
政府管掌健康保険(政管健保)への国庫補助をカットし、組合管掌健康保険(組合健保)と公務員共済組合(共済組合)に削減分を補てんさせる方法を、厚生労働省は被用者(サラリーマン)保険一元化の“一里塚”と位置付ける。しかし七月の参院選での与党惨敗後、「弱者への配慮」を掲げる福田政権が誕生、先行き不透明になっている。
「将来的には被用者保険は必ず一元化されるでしょう。ただ政管健保への国庫補助を減らして、健保と共済で助けてもらうことも、来年度からできるかとなると、どうでしょうか」。厚労省が、重要な医療保険政策を諮問する社会保障審議会医療保険部会の事務局になってる保険局総務課の職員は、個人的な見通しも交えながら話す。
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「分かりません」
「政管健保は来年十月に公法人に変わり、保険財政は事実上、都道府県別の協会支部が運営する。要は組織の細分化だが、その一方で組合健保と、さらには共済組合と統合して被用者保険を一元化すると言うのは、ある意味で逆行でしょう。だから健保や共済も細分化して、都道府県別に一元化させるのか。今後のことは、正直、さっぱり分かりません」。
厚労省の調べでは、被用者三保険の政管健保、組合健保、共済組合の加入者数は〇六年三月末現在、それぞれ三千五百六十五万人、三千十二万人、九百五十九万人。経営する保険者数は、政管が一(社会保険庁)、健保が千五百六十一、共済が七十六。来年十月一日に公法人全国健康保険協会が設立されると、政管健保をそっくり引き継ぐ。
健保協会は、都道府県ごとに支部を設け、職員は協会理事長が任命。支部の業務に関する意見を聴くため、評議会が置かれる。これに伴い保険料率は、協会設立後一年以内に支部が評議会の意見を聴き、運営委の承認を得て決定するという。政府が決めている現在の段取りだと、来年十月時点では、政管健保は現行の全国一律の保険料率が都道府県単位、保険者も事実上四十七になる。
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“先取りした姿”
一方、被用者保険の一本化をめぐっても、二通りの考えがある。民間保険の政管と健保がまず一緒になって、その後、共済組合を統合する案と、三つの保険を一度に統合する案だ。
背景には、民間と公務員では保険料を決める算定方式の違いがある。民間(政管・健保)の保険料は、月々の給料や手当とボーナスを合わせた年間の総収入から割り出す標準報酬月額に保険料率を掛けて徴収する。
公務員の保険料(短期掛け金)は、給料(本俸)を一・二五倍した月額に保険料(掛け金)率を掛けて、ボーナス(期末手当など)時は特別な徴収(掛け金)率を掛けて、それぞれ徴収する。
民間に所得格差があるように、自治体間にも財政力に比例して格差がある。医療保険が主の短期共済は、法定給付と付加給付があるが、富裕団体とそうでない団体では、付加給付の内容に格差が反映されている。共済組合としては連合会組織をつくって全国一体だが、実態は各都道府県、各市町村間でバラバラ。政管健保の公法人化後を、“先取りした姿”とも言える。
「各被用者保険の内情は複雑。政管と健保の統合も容易じゃない。そのうえ共済もとなると…。自民党政権自体が揺らいでおり、昨年閣議決定された『骨太方針2006』も、どうなるか分かりませんよ」。保険局総務課の職員は声を潜める。
(熊本日日新聞2007年11月14日付夕刊メディカル)
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