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緊急医師確保対策(下) 自治医科大方式を踏襲
 緊急医師確保対策の抜本策ともいえる全都道府県の医学部定員の時限的増員を、「いつか来た道に似てる」を思い浮かべる医療関係者は少なくない。学生を特定目的の医師になすために集めても、容易にならない自治医科大の例からも分かる。

 一九七二年四月、栃木県南河内町(現在は下野市)に、へき地など地域医療を担う医師を育てる狙いで、自治医科大が開校した。全国の都道府県が共同設立した学校法人が経営。各都道府県知事が理事に就き、「人類愛に燃え、将来、都道府県で地域医療に挺(てい)身する気概と情熱に富んだ優秀な学生を選抜するよう努めている」(設立の趣旨)。

 地元定着率

 定員は百人。入学試験は一次を都道府県、二次を大学が実施する二段階方式。所在地の栃木県には国公立大医学部がないため、同県の合格者枠は常に三人。残る四十六都道府県の合格者枠は二人〜三人で毎年変動している。学生は全寮制。卒業後は、四年半のへき地勤務を含め九年間、公立病院を中心に出身都道府県が指定する病院への勤務が義務になる。ただ在学中の学費は貸与され、卒業後九年間、指定病院に勤務すると返還しなくてもいい。在学中に全額貸与された授業料を卒業時に利子を付けて一括返済すると、指定病院勤務を免れることもできる。また指定病院勤務後は、地域医療に携わるかは任意だ。

 総務省が地域医療に関する関係省庁連絡会議に提出した資料がある。自治医科大卒業の一期生が義務年限終了後の地元定着率を、都道府県別に調べている。ただ出身地の定義は「出身高校の所在地」。中学卒業後、他県の高校に入学、卒業すると、その高校の所在地が出身地になり、中学卒業まで育った県に戻って地域医療に携わっても、地元定着とはみなされない。偏差値の高い医学部進学のため、地方の県では都市部の府県の進学校に進む生徒も少なからずおり、出身地定義の見直しを求める声が上がっている。

 評価の術がない

 総務省・自治医科大が定義した地元定着率では、上位は一位新潟90%、二位岩手88・9%、三位沖縄88・2%、四位奈良87・5%、五位滋賀85・3%。下位は福島、熊本各50%。東京51・1%、佐賀52・6%、長崎52・8%。最高と最低の差は40ポイント。平均70・9%。卒業生のほぼ三人に一人は、義務年限を終えると、卒業高校の所在地から離れていることが分かる。

 問題は、その後、どこで医師を続けているかだが、追跡調査していないため、自治医科大関係者など一部の人以外には分からない。その結果、大学創設の当初目的である「地域医療に挺身している」卒業生が、どの程度いるのか、実態を評価する術(すべ)がない。

 今回、全都道府県の医学定員を時限的に増員する方法も、この自治医科大方式をほぼ踏襲する。増員期間は最大九年間(公立大は最大十年間)。自治医科大も〇八年度から十年間、定員を十人増員、増員分は出身高校所在地にこだわらず、医師不足地域に勤務してもらうという。

 特定目的の医師を養成するため設立された実質的な国立医科大は、自治医科大、産業医科大、防衛医科大の三校。産業医科大は産業医、防衛医科大は自衛隊の医官育成が狙いだ。

 「私たちは、将来、全員産業医になると思って入学した。しかし今回の増員枠で入学する学生は、勤務地を自由に選択できる一般入試の学生と一緒に入学する。六年間の在学期間は長い。疎外感からリタイアしないといいのだが…」。産業医を経て勤務医になった産業業医科大一期生の中堅医師は顔を曇らせる。

発症初期で皮膚表面


(熊本日日新聞2007年9月26日夕刊メディカル)
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