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緊急医師確保対策(中) 深刻な地方の公的病院
発症初期で皮膚表面
地方の公的病院では医師不足が深刻化している。写真は今年4月、常勤の産婦人科医がいなくなった天草市立牛深市民病院=天草市牛深町(藤山裕作)
 厚生労働省、総務省、文部科学省でつくる地域医療に関する関係省庁連絡会議が作成した「緊急医師確保対策」で、国公立大学医学部の定員増が長期対策の軸になった。

 日本医師会などが指摘してきた医師の絶対数不足を追認して応じた形だが、単に医師を増やせば問題は“根治”するのか。結果が出るには時間が必要だ。

増え続ける医師

 厚労省の調べでは、国内の医師は二〇〇四年現在、二十七万三百七十一人。うち患者を直接治療する臨床医は94・5%の二十五万六千六百六十八人。残りは研究所や保健衛生施設、介護老人保健施設などに勤める。一方、医師国家試験の合格者数は〇二年以降は毎年七千人台で推移。死亡者を差し引き、毎年三千五百人〜四千人ほど増え続けている。

 ところが地方圏の医師、特に公的病院の勤務医の減少に歯止めが掛からない。救急、産科、小児科、麻酔科など、なり手が少ない科目は相次ぎ閉鎖に追い込まれている。〇四年度に導入された卒後臨床研修の義務化も拍車を掛けた。従来、臨床研修は任意で、研修しなくても医学部卒業後は医師国家試験に合格すると、医師になれた。それが二年間の臨床研修をしないと、なれなくなった。

 義務化と同時に、ただ働き同然だった研修医に手当てを支払って生活を保証。研修先病院を出身大学病院に限らず、厚労省が指定する病院の中から研修医が希望する病院と協議して選択できるようにした。それまでは出身大学の医局に入り、研修するのが当然視されていた。

 医局は医学部の講座を持つ教授を頂点にしたピラミッド型集団。系列病院に若手の医師を派遣し、腕を磨かせ医局に戻したり、別の系列病院に回したりする。その権限は教授が握っていた。

 「医師」と名乗れるには最低八年かかる。医学部六年、研修二年、医師国家試験合格後初めて一人で医療行為ができる。しかし大半はその後、専門分野に進んで「レジデント(専修医)」と呼ばれ、先輩の指導医の下で研さんを積む。

“逆玉突き”現象

 医局制度の崩壊は大学病院の医師不足を招いた。それは都市の有名病院などで研修する卒業生が増えた地方大の病院で深刻化。医師が足りなくなり、やむを得ず系列の公的病院などに派遣していた医師を引き揚げる。結果、地域の基幹病院的な役割を果たしてきた公的病院の医師がいなくなるという“逆玉突き”現象が起こっている。

 これを防ぐには、医師の絶対数を増やす以外にないという結論が、医学部定員の増員。全都道府県で毎年度各五人(北海道は十五人)まで増員を容認。期間は〇九年度から最大九年間(公立大は〇八年度からの十年間)。増員分の学生には、都道府県が奨学金を給付する。その代わり学生は、卒業後原則九年以上、都道府県が指定する公的病院などでの勤務で返還が免除される。また公立大医学部のうち現行定員六十人の和歌山県立医科大と横浜市立大医学部は定員を八十人とすることも認められる。

 九州でも宮崎県や佐賀県が既に特例制度を創設。佐賀大や宮崎大の医学部に県の特別枠を設けてもらい、受験者を募っている。このうち佐賀県は県外高校の卒業生にも門戸を開いた。ただ来年四月、佐賀大医学部の門をくぐれるのは二人。卒業後は同県内での臨床研修と、県が指定する公的病院で六年間の勤務が待っている。

(熊本日日新聞2007年9月19日夕刊メディカル)
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