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緊急医師確保対策(上) 勤務条件緩和へ制度改正
厚労省、総務省、文科省でつくる地域医療に関する関係省庁連絡会議は緊急医師確保対策をまとめた。写真は厚労省が入る中央合同庁舎5号館=東京都千代田区霞が関1丁目(亀井宏二)
医師不足に歯止めを掛ける、政府の「緊急医師確保対策」の概要がまとまった。医師不足地域への国レベルの医師派遣システムづくりや勤務医の過密労働解消を狙った勤務条件緩和などの短期対策と、国公立大学医学部の入学定員を〇八年度から拡大、医師を増員する長期対策に大別される。
厚生労働省、総務省、文部科学省でつくる「地域医療に関する関係省庁連絡会議」が八月三十日に申し合わせた。三省庁は〇八年度予算に対し関連経費を概算要求するとともに、制度改正に着手した。
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本格始動
短期対策は、国レベルの緊急、臨時的な医師派遣システムづくりが特色。今年六月、第一弾で全国社会保険連合会、国立病院機構、日本赤十字社、恩賜財団済生会、日本医科大が、医師不足が深刻な北海道、岩手、栃木、大分の四道県、計五カ所の医療機関に内科医や循環器科医を派遣。和歌山県が要請した新宮市立医療センターの産婦人科医は、厚労省が公募した医師を送った。
こうした国レベルの医師派遣を〇八年度から制度化し、地域医療の崩壊を食い止める具体策が本格始動する。厚労省は、退職医師を公募し地域医療に必要な知識と技能を学ぶ費用補助や、都道府県医療対策協議会の方針に基づき、都道府県の医師派遣に協力する病院への経費補助などを計画している。
全国各地に病院を持つ国立病院機構が、医師不足の自治体病院に医師を派遣した場合、現行法では病院機構は派遣費用も自治体から受け取れないため、地方財政再建促進特別措置法の施行規則を改正、受け取れるようにする。また医師は、へき地派遣を除き、労働者派遣契約で派遣を禁じられているが、へき地以外の病院にも派遣できるように労働者派遣業法の施行令も見直す。
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あの手、この手
医師の中でも勤務医の過密労働が深刻になり、過労死も相次いでいる。なり手が減っている産科や小児科などは、過密労働がさらなる医師不足を招くという“負の連鎖”に陥っている。これを断ち切るため、病院に必要経費を補助し、交代勤務や変則勤務を可能にする。さらに病院側が、看護師など非医師の医療従事者を積極的に使えるよう、年内に非医師の医療従事者にも可能な医療行為や業務を例示する。
助産師も増員される。院内助産所や助産師外来の新設費などを補助する。また産科の診療科目がある病院には分娩(ぶんべん)数の減少に伴う収入減を補てん。分娩数の少なさから不採算になって閉鎖する地域の産科を一つでも多く存続させ、“分散出産”に誘導、特定病院の勤務医が負うリスクを軽くする。
出産や育児を機に退いた女性医師の復職も大切。特に小児科は女性医師が少なくない。院内保育所の建設費や経営費を交付して復職を支援、“ペーパー医師”を掘り起こす。
さらに開業医に勤務医の負担を肩代わりしてもらう方法の一つとして、「総合科(総合医)」の創設が浮かんでいる。厚労省の医道審議会診療科目標榜(ぼう)部会が検討中で、内科や小児科を中心に幅広い診療能力を持つ開業医を、厚労省が「総合医」と認定する。来春の診療報酬改定で優遇措置も講じるという。
まさに“あの手、この手”の医師不足解消対策だが、総合科医は認定認定基準も認定も厚労省が決めるため、日本医師会(日医)は反対の姿勢。非総合医と異なる診療報酬体系の導入は、開業医の分裂につながりかねず、日医の姿勢硬化で曲折も予想される。
(熊本日日新聞2007年9月12日夕刊メディカル)
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