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全国健保協会(下) まだ見えぬ移行後の姿
発症初期で皮膚表面
政管健保は来年10月に全国健保協会に移行する。全国5つの社会保険事務局は、移行に先行したモデル的な取り組みを進めているという。写真はその一つ福岡社会保険事務局=福岡市博多区博多駅前3丁目(中原功一朗)
  全国健康保険協会への全面移行を念頭に、全国五つの社会保険事務局でモデル事業を先行的に実施することになっている。ただ本体の社会保険庁の“解体”が、政界も巻き込んで二転三転したため、具体策はほとんど進んでいないという。

  その中で各社会保険事務局が、事業主、被保険者、学識経験者の代表を集めて設置した「健康保険事業運営懇談会」の協議には、今後の姿を探る示唆に富んだ内容が含まれている。

公平性に欠ける

  「平成十五(〇三)年の保険料率の引き上げ、患者の自己負担のアップで政管健保の保険財政は黒字になった。なぜ分割なのか。秋田は少子高齢化が進み、年齢調整しても保険料負担は増える。高齢で低賃金なのに、高い保険料を払い、それに見合う医療の提供がなければ、国民の公平性に欠ける」。秋田社保事務局の懇談会での発言だ。残る福島、三重、愛媛、福岡の各社保事務局の懇談会でも異口同音な意見が相次いでいる。

  全国一本の政管健保を都道府県別に分割。保険者機能を高め医療費を精査し、抑制するという厚生労働省の考えが受け入れられているとは言い難い。特に東北地方は医師不足が年々深刻になっている。高い保険料を負担したといって、必ず医療が提供される保証はない。進む地域の高齢化とも相まって悩みは切実だ。福岡県も、福岡市や北九州市などを除くと、類似地域は少なくない。

  被扶養配偶者をはじめとする被扶養者の健診率アップ対策も、焦点の一つ。厚労省の調べでは、政管健保生活習慣病予防健診の被扶養配偶者の受診率は全国平均4%という。夫の事業所経由での健診申し込みは気が進まない妻が多く、申し込み方法に工夫を求める要望が強い。ただ健診料が安い市町村国保の健診を利用する妻もいる。結局、配偶者がどんな内容の健診を受診し、その受診率はどれだけか。正確な情報を保有している役所はどこにも存在しない、という寒い実態が浮き彫りになっている。

  これに対し社会保険事務局側は「各保険者(政管健保、健保組合、共済組合、市町村国保)が集まる保険者協議会で、各都道府県が主になって被扶養者の健診状況の把握や健診内容の統一などを検討中」と即答を回避している。

“縄張り争い”

  さらに労働安全衛生法(労安法)に規定されている定期健康診断と政管健保の健診の重複回避を望む意見も少なくない。労安法は、五十人以上の従業員を雇う事業主に定期健診と産業医による証明書の発行を求めている。ただ双方の健診の検査項目や内容が酷似している半面、検査費用は異なる。

  各地の懇談会では、政管健保健診の義務化を契機に整理を求める声も上がったが、社保事務局側は健診の根拠になる法律や対象にする事業所の規模の違いをタテに、双方の並存を主張。まず、どちらか一方の健診を受診してもらい、別の健診でフォローアップしても構わないと柔軟姿勢を強調。検査費用の“価格差解消”には触れなかった。そこには、厚労省になっても旧厚生省と旧労働省の“縄張り争い”ものぞく。

  「今後は事業主の加入届を待たず、政管健保に強制加入させる職権適用を見据えた適用勧奨を実施していく」。愛媛社保事務局は断言しているが、加入事業所の増加に伴い保険料徴収率の落ち込みというジレンマに陥る可能性も高くなる。

(熊本日日新聞2007年8月22日付夕刊メディカル)
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