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全国健保協会(上) 新組織で医療費チェックへ
社会保険庁は日本年金機構と全国健康保険協会に分離され、各都道府県の社会保険事務局の政管健保部門は健康保険協会の支部になる。写真は熊本社会保険事務局が入る日本生命熊本ビル=熊本市辛島町
公的年金は「日本年金機構」、政府管掌健康保険(政管健保)は「全国健康保険協会」に移行することで、社会保険庁の“解体”が決着した。このうち年金機構は二〇一〇年一月の設立まで余裕があるが、健康保険協会は〇八年十月の設立まで一年余りに迫った。
全国四十七都道府県にある社会保険事務局のうち三十数局は移行に向けての「政管健保事業に関する懇談会」を開き、既に協議に入った。熊本など残り十数カ局も近く、事業主、被保険者、学識経験者を集めた懇談会で話し合いを始める。
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採用は二本立て
政管健保の全国健康保険協会移行は医療制度改革の一環だ。政管健保が支出する医療費に都道府県間で格差があるため、保険財政の運営を都道府県単位にして医療費を細かくチェック、無駄を省くという。全国協会は政府が設立。都道府県に支部を置き、医療費を反映させ都道府県別に保険料率を決めていく。
全国協会は事業主、被保険者、学識経験者の各三人、計九人でつくる運営委員会を設置、保険料率変更や事業計画などの適否を判断する。協会トップの理事長は、運営委の意見を聴き厚労相が任命する。支部長は全国協会の職員で理事長が任命。支部には支部長が事業主、被保険者、学識経験者に委嘱し、意見を聴く評議会を置く。
現在、〇八年十月の全国協会設立を前に、設立委員会(委員長・星野進保・前総合研究開発機構客員研究員)が法人の理念や運営方針、定款、運営規則のほか、組織・人員の骨格、職員の採用基準、労働条件などを検討している。職員の採用は、社会保険庁からの移行と民間からの新規採用の二本立てになる。
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保険者機能
政管健保を全国協会に移したのは、医療費の無駄遣い抑制ばかりではない。被保険者に対する保険者機能が十分果たされてこなかったのも大きい。病気になってから病院を受診するのではなく、病気の予防を工夫し努力する姿勢が欠けていた。
従業員七百人以上の会社のサラリーマンが入る健康保険組合(健保組合)は保養所やレクリエーション・スポーツ施設など健康増進にカネをかけている。また医師はもとより、看護師や保健師、管理栄養士などを雇い、被保険者の健康をチェックする。政管健保の適用会社では、ほとんどみられない光景だ。
会社の強い財務基盤、若い従業員が多く医療費が少ないという背景がある。しかし、それだけでもない。組合財政が赤字になると、その分、組合員の負担(保険料)が重くなるため、会社、組合一体で病気の予防を心掛けている面もある。
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弱い財務基盤
半面、政管健保は中小零細業が対象。従業員(被保険者)十人未満の会社が多い。財務基盤も弱く、平均年齢は高い。健保組合の被保険者に比べ病気の発生リスクが高いにもかかわらず、財務の弱さとも相まって会社単位で健康増進を図ろうにも図れないのが実態だ。
全国協会移行後、支部が保健事業の拡大を自主決定できるが、それを裏打ちする財源が協会から配分されることはないという。やりたいなら保険料に頼らざるを得ない。
その保険料率の上下限は、現行の政管健保の被保険者は95%〜30%、健保組合の被保険者は100%〜30%だが、協会移行後は健保組合の料率に一本化する。保険財政が厳しい、独自事業に取り組む場合、今より保険料負担を重たくできる。
(熊本日日新聞2007年8月8日付夕刊メディカル)
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