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「総合科」 「認定医」案に医師会反発
医療機関が標榜(ひょうぼう)できる医科の診療科名は現在、麻酔科を除き33科。患者に分かりにくくなっているとして、厚労省は基本的な診療科に整理する案を明らかにしている。写真は熊本大付属病院1階フロアーの外来診療科案内板=熊本市本荘1丁目
 厚生労働省の医道審議会医道分科会の診療科名標榜(ひょうぼう)部会が開かれ、新しい診療科名として「総合科」を設けるとともに、総合科を名乗れる医師の資格は国が個別に認定するという案が提案された。

 現在、医師や医療機関が名乗れる医科の診療科目名は三十三。医療法六条に基づき政令で定めている。これ以外では医療法六条により厚労相が許可する診療科名に麻酔科(省令事項)がある。

 診療科名の整理

 診療科名標榜部会には、総合科の新設と三十三の医科診療科名を基本的な領域の十七診療科名に整理する一方、病理診断科(臨床検査科)と救急科の新設案が打ち出された。

 今年四月、医療機関の広告(医療広告)の規制緩和が一層進んだのを契機に、細分化して患者に分かりにくくなっている診療科名を整理。患者が医療機関や診療科を選択する際に、困らないよう分かり易くする狙いがある。

 現在の標榜診療科目からなくす科として、心療内科、神経内科(神経科)、呼吸器科、消化器科(胃腸科)、循環器科、リウマチ科、アレルギー科、呼吸器外科、心臓血管外科、小児外科、性病科、皮膚泌尿器科、肛門科、気管食道科などが浮かんでいる。

 これだと整理対象になる学会や医師の反発が強くまとまらない公算が大きい。このため厚労省は、専門性の高い診療科領域(サブスペシャリティー)を併記す方法を考えているとされる。例えば、基本的領域の診療科名を記載し、その下側に小さくサブスベシャリティーを記載するやり方だ。

 国の個別審査

 この診療科名見直しで、最大の焦点は「総合科」の創設。厚労省は、有能な医師を国が「総合科医」として認定。初期診療は「総合科医」が担当し、将来は総合科の診療報酬を厚くする仕組みにするという。初期診療を手掛けるのは総合科医に限られ、非総合科医は総合科医から患者を回してもらう“下請け”にもなりかねない。

 「日本医療の最大の特徴であるフリーアクセスを制限する政策につながる。容認できない」。断固反対の日本医師会は、(1)初期診療で患者のアクセスポイントが減少し地域格差を生じる(2)国による総合科医の認定は官僚の権益拡大につながる、などと問題点を列挙、在宅主治医制度への“橋渡し”になると主張する。

 総合科医が麻酔科医と同様、国の個別審査によって標榜医資格を与えられる点に不信感を募らせ、フリーアクセスの制限さらには医療費抑制策の布石と警戒する。

 「総合診療部」

 その日医も、最新の医療情報に熟知し必要に応じ専門医に紹介、「心のケア」もできる総合的な能力を持った医師の養成の必要性は十分認めている。養成カリキュラムの作成に着手し、日医の学術推進会議や生涯教育推進委員会で検討しているとしている。ただその時期がいつになるか。今のところみえない。

 一九九〇年代半ばごろ、全国の大学病院などに「総合診療部」という、「総合科」によく似た名前の部門が誕生した。どの診療科を受診するのか分からない患者の「受け皿」という位置付けで、診療部で専門科を紹介するシステムをつくった。

 現在、大学病院は専門外来が当時よりも細分化。本来の機能を果たせなくなっている総合診療部も少なくないという。「総合科」が、そうならない保証はない。

 (熊本日日新聞2007年6月6日付朝刊)
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