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 七十一歳のヤスコさんは、お風呂が大好き。特に、熱めのお湯にじっくり入るのが大好きで、最後にお湯の温度を再び上げて肩までつかり、百まで数えてから上がる習慣がある。ある時、ヤスコさんはいつものように百まで数えた後、立ち上がった途端、目まいがして、その場に倒れてしまった。頭や腰などを強く打って腰部を骨折。これをきっかけに、ヤスコさんは歩行や服の着脱など日常生活動作が困難になり、大好きなお風呂にも自分で入ることが難しくなった。
松尾 洋
入浴による温熱効果
 
痛み軽減して体動かす
 高齢者の入浴事故は、年間一万二千人とも言われています。厚生労働省の調査では、二〇〇五年度の浴槽内での溺(でき)死・溺水による死亡事故は約三千三百人に上り、このうち約六割は六十五歳以上の高齢者が占めていました。特に冬場に多発しているようです。

 冬場の入浴には危険が潜んでいますが、介護予防という視点からは、入浴は非常に重要です。特に、冬場は腰やひざの痛みを訴える人が多くなり、高齢者は外出頻度が減ります。動かさないことで体の動きが悪くなる廃用症候群が進む恐れがあります。

 入浴すると体が温まります。これを温熱効果と言います。筋肉や腱(けん)も同様に温められ、柔軟性が増し、体を動かしやすくなります。また、同時に温熱は痛みの緩和に効果があります。肩まで入浴すると浮力の働きで体重は十分の一になり、腰などの痛みも軽減されます。

 このように入浴は、体を衛生に保つだけでなく、痛みを軽減しながら動かしにくい関節や筋肉を動かすことができる、格好の介護予防実践の場なのです。

 ただし、事故を防ぐためにも、左に示す「安全入浴法」を守ってください。また、入浴を制限されている人は、かかりつけ医の指示に従ってください。安全に入浴を楽しみながら、介護予防に取り組みましょう。 (健康運動指導士、熊本市) =来月は20日に掲載
   入浴中に行う運動プログラムです。「安全入浴法」を守りながら、痛みの出ない範囲で実践しましょう。
お風呂で正座

  体が温まった後に、浴槽内で10〜30秒ほど正座する。
 ※ひざの関節の柔軟性を高める効果があります。

足首・腰の体操

  (1)浴槽の壁に背中をつけて、ひざを胸の方に引き寄せます。
  (2)足首をゆっくり10回ほど回す。
  ※腰痛の緩和や転倒予防に効果があります。

イラスト・大城戸恵子



(熊本日日新聞2007年1月9日朝刊)
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