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 77歳のヨリコさんは、家にいることが多く、外出するのは週に1度の通院ぐらい。家の中ではいすに座っているか、横になってテレビを見ているだけ。自宅には2階につながる階段があるが、もう長い間使っていない。同居家族も「年だから無理はいけない」と言う。ヨリコさんの体力は次第に低下し、とうとう自分の力だけでは、いすから立ち上がることも、布団から起き上がることもできなくなってしまった―。
松尾 洋
筋肉と神経の協調性
 
体重利用 ゆっくり動かす
 ヨリコさんは動かさないことで身体機能が低下する「廃用症候群」の代表例です。

 私たちの体の動きは、筋肉と神経とがバランスよく連動する協調性と、それに伴う骨と骨の関節運動によって作られています。加齢に伴う身体機能の低下を引き起こす要因には▽筋肉と神経の協調性の低下▽重力に対抗できる筋力(抗重力筋)の低下▽骨や関節の変形―などがあります。

 特に筋肉と神経の協調性は、普段のトレーニングである程度維持することは可能で、何歳から始めても遅くありません。90歳を超える超高齢者でも改善報告が出ています。

 トレーニング時の負荷は重いものではなく、自分の体重を利用すれば十分。使っている筋肉を意識しながら、ゆっくり動かすだけで筋肉と神経の協調性を無理なく高めることができます。

 最近、いすに座るときに背もたれに寄り掛かっていませんか? そんな人は、体幹(胴体)を支える筋肉と神経の協調性が低下している可能性があります。

 また、歩くときに足が上がりにくくなって、すり足気味になっていませんか? 骨盤周辺の筋肉と神経の協調性が低下しているのかもしれません。

 「年のせい」とあきらめてしまうのではなく、毎日の生活の中で動きやすい体づくりに取り組みましょう。(健康運動指導士、熊本市)

   筋肉と神経の協調性を高めるプログラムです。痛みを感じない範囲で無理なく取り組みましょう。

体幹の筋肉と神経の協調性

 (1)イスに座り、タオルを肩幅に持って両膝の上に置く。

 (2)両ひじを伸ばしたまま、息を吐きながらゆっくりと半円を描くように両腕を持ち上げる。背中を背もたれから離し、おなかは引っ込める。

 (3)息を吸いながらゆっくりと元の姿勢に戻す。

 (4)呼吸に気を付け、10回程度を目安に繰り返す。

下肢の筋肉と神経の協調性

 (1)階段など段差の前に立つ。

 (2)壁や手すりを支えにし、右足からゆっくり一段上り、右足からゆっくり一段下りる。上るときは足の裏全体をつけ、下りるときはつま先から。つま先とひざがまっすぐ前を向くよう注意する。

 (3)両足それぞれ10回以上を目安に、徐々に回数を増やす。

 *動作は常にゆっくりと下半身を意識して。ひざの痛みがある人は痛みの出ない範囲で。慣れたら手すりにつかまらずに。
イラスト・大城戸恵子

(熊本日日新聞2006年10月17日朝刊)
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