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介護予防事業 県内スタート 山鹿市では温泉も活用
 将来、介護が必要になる可能性の高い六十五歳以上のお年寄りを対象にした介護予防事業が、県内市町村で順次スタートしている。効果的な介護予防教室を模索する一方で、対象者の把握は思うように進んでいない。

音楽に合わせて体を動かす「温泉わくわく倶楽部」の参加者=山鹿市の延命館
 「両手を前に伸ばしながら、声を出しましょう。ハアーッ」。山鹿市菊鹿町の温泉旅館「延命館」の一室にインストラクターの元気な声が響く。「三百六十五歩のマーチ」の軽快な音楽に合わせ、八人のお年寄りは、いすに腰掛けたまま体を動かした。

 同市は十月から、介護予防教室「温泉わくわく倶楽部」をスタート。各観光協会と契約し、温泉旅館を会場にしている。週一回、午前十時から午後一時半までの客が少ない時間帯を有効活用。参加者の送迎も旅館が受け持つ。

 参加者は血圧測定などの健康チェックを受け、一時間ほど筋力トレーニング。温泉で汗を流したらタオルを使って体操。飲み込みなど口腔(こうくう)機能を高める体操の後、低栄養を予防するタンパク質を多めにした昼食を取り、最後に歯磨きや入れ歯の手入れ。一回の参加で、すべての介護予防が体験できるという設定だ。

 十二回のコースで、参加費は一回四百円。「トレーニングは結構ハードですが、温泉と食事という楽しみもあるからか、今のところ脱落者はいません」と同市地域包括支援センターの佐藤アキさん。参加者も「ここに通うようになって、体の痛みが減った」「送迎があるし、みんなとおしゃべりできて楽しい」などと笑顔で話す。

 介護予防事業は市町村が実施する地域支援事業の一つ。対象は、基本チェックリストで一定の基準を満たし、基本健康診査を受けて、介護予防が必要と判断された「特定高齢者」。運動機能訓練や栄養改善などの介護予防プログラムを通所と訪問で実施。事業費には介護保険料も充てる。

 通所の介護予防は、介護保険事業所が委託先となるケースが多いが「要介護者や要支援者のデイサービスやデイケアと一緒になってしまい、思うような成果が得られないのではないか」という指摘もある。

 このため山鹿市は、介護予防プログラムを介護保険事業所から切り離した。「行政が責任を持ってやるべき部分。人口が多いと無理だろうが、山鹿市の規模なら可能。事業所委託は、手本を示した上で考えたい」といきがい推進課。事業所任せで見えなくなっていた高齢者の実態を、きちんと把握したいという思いもある。

 同市は今後、菊鹿のほか三カ所で介護予防教室をスタートさせる予定だが、課題は参加者の確保。厚労省の示す基準が厳しく、該当者がなかなか見つからないうえに、参加を断られるケースもあるという。

 県の調査によると、九月一日現在で介護予防教室などの対象となる特定高齢者を決定できていたのは三十四市町村で、計九百十人。六十五歳以上人口の0・21%で、県が本年度の目標とする3%を大きく下回る。このうち基本健診の結果から把握できたのは約半数の四百七十一人だった。

 県高齢者支援総室は「基本健診を受ける人は比較的元気な人が多い。民生委員などの協力を得て、未受診者や閉じこもりがちな人の中から対象者を把握してほしい。併せて、対象者の決定に必要な基本健診が、通年で受診できる環境づくりもお願いしたい」と話す。(田川里美)

  (熊本日日新聞2006年11月21日朝刊)
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