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| 患者、お年寄りの話じっくりと…傾聴ボランティア |
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お年寄りなどの話を否定することなく受け止める「傾聴ボランティア」。一人暮らしのお年寄りが増えており、福祉施設や病院などでもスタッフが一人一人に十分な時間が取れないという事情もあることから、そのニーズは高まっている。手軽に始められると思いがちだが、「聴く」という作業は意外と難しい。県内では養成講座もスタートしている。
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| がん患者の話に聴き入る臨床パストラルケアの研修生=熊本市のイエズスの聖心病院みこころホスピス |
「そうですか。つらい思いをされたんですね」。熊本市上熊本のイエズスの聖心病院みこころホスピスの病室で、1人の女性が末期がん患者の話に耳を傾けていた。とめどなく続く話に、時折肯く。次第に患者の表情は和らいだ。
1月中旬、「臨床パストラルケア教育研修センター」(福岡県久留米市)の研修が同病院を会場に実施された。「パストラルケア」とは、患者やその家族の心のケアのこと。患者を訪問し、会話記録の検討を通して傾聴の技術を磨く。5日間の集中コースに全国から10人の研修生が参加した。
研修生の1人馬場きよ美さん(52)は滋賀県高島市の保健師。傾聴を学ぶ研修会は2回目という。「地域の一人暮らしのお年寄り宅を訪問しているので、仕事にも生かせます。ただ、学びたいと思った一番の理由は、がんで亡くなった友人の心の痛みを受け止めてあげられなかったから」と話す。
「こんな病気になったのは、ごう慢な生き方をしてきたからだ」と嘆く親友に、馬場さんはきちんと向き合えなかったという。「力になれなかったことが悔やまれて…。死が迫ったとき、誰も1人では気持ちを整理できない。そのお手伝いをしたいと思うようになったんです」
同病院の看護部長で臨床パストラルカウンセラーの泉キリ江さん(67)は「傾聴とは人生の意味を一緒に考える作業」と説明する。「幸せだったことは一緒に『よかったね』と再確認し、恨みを引きずっていたら『許す』ことに気付いてもらう。聴くことで、本人に変わってもらうんです」。傾聴者には心からの共感が求められる。そのためには訓練が必要という。
泉さんは「医療的ケアが限界を迎えたとき、看護師が『もう傾聴しかないね』と軽々しく口にすることがある。私は『傾聴こそ』と言いたい。患者やお年寄りに大きな力を与えるのだから」と訴える。
傾聴ボランティアへの関心の高まりを受け、熊本市の団体も養成講座をスタートさせた。開いたのはNPO法人シニアサポートキーステーション協会(菊池美保子理事長)。「傾聴とは人の心の中に入る作業。一定のトレーニングが必要です」と菊池さん(80)。
「人の話を取ってしまい、いつの間にか自分が話している人がいるが、それでは傾聴にならない。黙っていることも大事。待っていれば言葉が出てくることがある。共感することは大事だが、『死にたい』という人には共感するわけにはいかないし、かといって説教してもダメ。事例に基づく訓練が必要なんです」
同協会では傾聴ボランティアに必要な基礎知識となる認知症やヨガなどをテーマにした5回の基礎講座を修了後、ロールプレーで実践力を養う継続講座を開催する予定。「傾聴ボランティアのニーズは今後ますます高まる。定年後の生きがいにもなるのではないか」と菊池さん。同協会は近く、二期生を募集する。
(熊本日日新聞2006年2月7日付朝刊くらし面)
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