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医療情報公表制度 治療成績は未公表
政府の医療制度改革で都道府県の役割は急速に拡大している。写真は熊本県庁舎の行政棟新館(右手前)と行政棟本館(左手奥)。
 政府の一連の医療制度改革で、都道府県の役割が急速に拡大している。改正医療法と改正薬事法の四月施行に伴い、医療機関や薬局は都道府県に対し情報届け出の義務を負い、都道府県は住民への情報公表を義務付けられる。

 各医療機関などが公表する情報を、独自発信と都道府県経由の二本立てにして、国民の医療機関選択を助けるのが狙いという。ところが都道府県の公表手段は原則インターネット。最も医療情報が必要な高齢者は、パソコンを扱える人が少なく、配慮に掛けるとの批判も強い。

 ■当面は50項目超

 医療機関に届け出義務、都道府県に公表義務が生じる「医療情報」の対象は病院・診療所、歯科診療所、助産所、薬局。厚生労働省が三月末に政省令で決めるが、厚労省医政局によると施設開設者や場所、名称、診療科目、診療時間といった基本データを中心に当面は五十項目超になる。

 患者や家族が最も知りたがる治療成績(アウトカム指標)は、「客観的な判断指標がない」(医政局総務課)として届け出義務、公表義務の対象から除外する。ただ、そういう結果分析をしているか、どうかを対象に含める方向で検討中という。

 批判の強いネットのみでの公表には、「ネット活用システムが基本だが、印刷物での公表もできないか検討はしている」(医政局総務課)と含みも持たせる。

 チェックは不可能

 医療情報の公表制度は、二〇〇六年九月、厚労省医政局長の有識者検討会(「医療情報の提供の在り方等に関する検討会」)が設置され、二回の会議で大枠が決まった。

 検討会のメンバーは十人。半数の五人は届け出義務を課される医療機関側、公表側の都道府県代表は栃木県医事厚生課長一人。全国知事会を通じて集めた意見を陳述した。

 検討会の議事録によると、医事厚生課長は(1)公共的情報なのに、医療機関の報告情報をチェックもせずに、そのまま提供する(2)制度の信頼性を都道府県がどう担保するかなどの問題点を挙げ、「責任を持ちたいけれど、膨大な医療機関と情報を相手にすることになり、事前のチェックは不可能。事後チェックの仕組みを検討してほしい」と訴えている。

 そういう都道府県に、厚労省は「医療安全支援センター」の設置も要求している。患者や家族からの医療機関に関する相談窓口で、内容次第では治療方法や薬剤などに関する専門知識も必要になる。ところが、ほとんどの都道府県の相談窓口は現在、数人の非常勤職員で対応に追われているのが実態だ。

 頭痛がしそう

 熊本県の場合、医療情報は、〇六年九月に県庁のウェブサイトに開設した「救急医療情報システム」を手直しして公表する。県内約二千五百の全医科・歯科施設の92%、約二千三百施設の基本的な情報は既に入っている。今後、残る医科・歯科施設のほか、助産所や薬局の情報を追加する。

 しかし届け出情報は“自己申告制”。例えば○○学会認定医と標榜(ぼう)していても、法人格もない任意団体の学会もある。認定医になる条件も学会間でバラバラ。「住民の問い合わせに、公表している役所が『この学会は大丈夫、この学会は怪しい』とは言えない。頭痛がしそうですよ」。県健康福祉部の中堅職員の悩みは深い。

 (熊本日日新聞2007年3月14日付夕刊メディカル)
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