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| 個人情報保護法施行 カルテ管理など徹底へ |
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個人情報保護法が今月1日に全面施行され、県内の医療機関でも対応が進んでいる。患者の診療記録など高度な個人情報を扱うだけに、漏えい防止や管理対策の見直しなどに各機関は神経をとがらせている。一方、同法の精神に基づいたプライバシー保護対策は、対応にばらつきも。“完全履行”の難しさも浮き彫りになっている。
●損害賠償規定を追加
同法の全面施行に合わせ、厚生労働省は医療事業者向けにガイドラインを作成。それを受けて日本医師会が手引書を作り、医療機関は同手引書などを基に「個人情報保護方針」を決定。患者らに文書で個人情報の利用目的や安全管理対策などを知らせている。
各医療機関が特に重視するのが患者の氏名や住所、健康保険証番号、疾病履歴などの情報管理だ。大規模病院でもカルテの主体は書類だが、電子化を進めている機関もあり、一度に大量漏えいする可能性があるほか、清掃や検査、警備など外部の業者に持ち出される恐れもある。
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| 外来受付入り口に個人情報保護方針などについての説明板を掲げている熊本赤十字病院=熊本市長嶺南 |
防止策として情報端末のパスワードやカルテ管理などを徹底するほか、日本医師会は外部業者に情報守秘の誓約書を取るよう勧めている。県内の医療機関も「これまでの守秘義務規定に、損害賠償など細かい内容を加えて契約を更新した」(熊本赤十字病院)といった対応が始まっている。
高度医療の研修のため短期間在籍する医師の多い済生会熊本病院は院内対策にも力を入れている。同病院は、カルテとは別に医師や診療科ごとに患者の診療記録を残すことがあるという。副島秀久副院長は「内部の人物が情報を持ち出すリスクもある。研究目的でも、安易に記録が持ち出されないよう指導を強化している」と説明する。
個人情報が記載された書類などの廃棄は、委託業者に処分した場所や日時の報告を求める機関もあるという。
●サービス低下を懸念
一方、関係者に戸惑いが広がっている問題もある。氏名や性別のほか、身体に関する評価も個人情報と規定している保護法を厳密に解釈すると、診療内容が別の患者に聞かれることは違法状態になる。多くの医療機関で現在行われている氏名での呼び出しも問題になる可能性がある。
これに対して熊本市の開業内科医は「患者のプライバシーに配慮するのは当然だが、そのため診察室を密室にすることは現実的に不可能。患者を番号などで呼ぶと間違える可能性もあり、本末転倒では」と疑問を投げかける。別の歯科医師も「従来の開放的な診察室の構造を変えるのは困難」と打ち明ける。
熊本赤十字病院は患者の申し出で、氏名の替わりに仮名を準備している。入院する場合、病室前に氏名を掲示するかどうかに加え、電話や見舞いの取り次ぎも要望に応じて制限するなどしているが、古澤智久総務課長は「患者の要望が細かくなったら十分に対応できるか不安。見舞いに来た人へのサービス低下も心配」と表情を曇らせる。
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| 現在、受診者に簡単な間仕切りで問診している県総合保健センター(旧成人病検診センター)。近日中に音漏れしない専用スペースに改修するという=熊本市東町 |
調剤薬局や検診事業者も対応に追われている。県薬剤師会は(1)説明の際に病名を言わない(2)第三者に病名を連想させるような場合は個別に電話などで対応する―の徹底を会員に伝えた。県総合保健センター(旧成人病検診センター)は現在、仮設の間仕切りを設けて行っている問診を、近日中に音漏れしない専用スペースに改修するという。
済生会熊本病院の副島副院長は「個人情報が漏れないように万全を尽くすのは当然だが、医療者側が保護法に過剰反応するのもどうか。医療ミスをしないとの大前提に立ち、対応していくのが大切では」と話している。
○メモ=個人情報保護法の義務を負う医療事業者は、管理する個人データが過去6カ月に5000件(1件は原則、特定できる個人の数)以上と定められているが、県医師会は全医療機関に順守するよう呼び掛けている。違反すると、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金の罰則規定がある。情報が漏えいした場合、被害者に損害補償をする医療機関向け保険も発売されており、県内でも既に加入している機関があるという。
(熊本日日新聞2005年4月27日付朝刊くらし面) |
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