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どう防ぐ医療ミス 死因7位の試算も 必要な情報開示患者と「共有」を
 全国で相次ぐ医療ミス。医師と患者が信頼関係を取り戻し、医療の質を高めるにはどうしたらいいのか。県保険医協会(上塚高弘会長)が熊本市で開いた「医療過誤シンポジウム」では、市民団体の関係者や医師らが現状を報告する中で、医療側の情報公開の必要性があらためて浮かび上がった。

自ら理事長を務める病院の医療ミスを例に挙げて話す森功・医療事故調査会代表世話人(右)と、出産時の医療ミスで子どもを失った「医療情報の公開・開示を求める市民の会」の勝村久司事務局長
 ●被害者の立場から

 高校教師で「医療情報の公開・開示を求める市民の会」事務局長の勝村久司さん=京都府=は被害者側の立場から声を上げた。1990(平成2)年、陣痛促進剤の不必要な投与で妻が危篤状態に陥り、初めての子どもを亡くした。92年に病院を提訴し、二審で逆転勝訴した。

 勝村さんは裁判の過程で、陣痛促進剤の使用を妻に伝えていなかった主治医に「患者が不安がらないように言うのも、インフォームド・コンセント(十分な説明と同意)の一つ」と言われ、あ然とした。「患者が、自分がどんな症状でどのような医療を受けたのか、知り得なければ被害はなくならない」

 ●診療報酬に注目

 その上で、医療保険から病院に支払われる診療報酬が適切に設定されているのか、注目する。「いい医療に高い報酬を与えるのが、消費者である患者のニーズにかなう」という考えからだ。ところが実態は「不要な医療を施す病院は多額の診療報酬を稼ぐ。一方、夜間や休日を問わず長時間の出産に複数のスタッフが対応するような病院には十分な報酬が支払われない」と嘆く。

 「診療報酬に対して患者が声を上げることで医療の質を上げたい。それに、自分の受けた医療の値段を知ることで、過剰医療や不正請求の防止にもつながる」と勝村さん。「そのためにはカルテやレセプト(診療報酬明細書)の開示が不可欠。患者が十分に見ることができて初めて、患者は医師と対等になれる」と情報公開の必要性を強調した。

 ●重篤な例ほど公表

 「医療事故調査会」代表世話人の森功さん(大阪府)は、日本の医療事故の発生頻度を独自に試算。年間3万4000人が医療ミスで亡くなり、死因の7位に当たるというショッキングな数字を示した。

 同会発足の1995年4月から昨年3月までの医療事故618件を鑑定した結果、74%が医学的な過誤によるもので、うち63%が死亡につながった。「百パーセント事故を起こさないなんてあり得ない。必ず原因を分析して、重篤な事例であればあるほど公表し、どうしたら防げるかを広く考えてもらうことが大事」

 自ら理事長を務める医療法人で内部監査機構をつくるなど96年から医療ミスの防止に取り組む。24時間体制で医療ミスをチェックする専従のリスクマネジャーを置き、必要な場合には防止マニュアルをつくり、実践状況を抜き打ちで検査する。

 医師や看護師はミスやヒヤリのケースを必ず報告しなければならない。同法人で03年に起きた医療ミスやヒヤリの報告は757件。薬を間違える「誤薬」が27%と最も多く、「看護・介護」「転倒転落」と続く。だが、徹底した防止策で2000年から約3分の2に減った。これらの内容は外部にも公開。02年に点滴ミスで女児患者が死亡したケースでも事実の経過を分析、公表した。

 「監査機構には年間5000万円ほど予算がかかるが、役員の給料をカットすることでしのいでいる。もし収入が落ちたら職員の給与も減らすが、監査機構は永久に残す」と森さん。「ミスをチェックできない病院なんてない方がいい」と力を込めた。

 医療側に求められる意識改革。コーディネーターを務めた県保険医協会の樺島啓吉副会長は「医師は病気だけを診るのでなく、患者と情報を共有しながらよりよい医療を目指すべきだ」と締めくくった。(高本文明)

 (熊本日日新聞2004年4月14日付朝刊くらし面)

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