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| 患者自ら納得できる医療選び支援 大阪医療センター「情報室」 |
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患者が自分の病気を理解し、納得できる医療を自ら選べるよう、医療機関が情報を提供する試みが注目されている。大阪市中央区の国立病院機構・大阪医療センター(廣島和夫院長)は、患者情報室を設けて2年目。初年度は延べ約5000人の患者や家族が利用したという。病院が場所を提供、市民団体が運営する全国初の取り組みだ。(文化生活部 高本文明)
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| ぜん息について調べに来た患者にアドバイスする常駐スタッフの山本ゆかりさん(中央)=大阪市の大阪医療センター患者情報室 |
「じんましんがなかなか治りません。よく知りたいのですが…」。昨年12月、患者情報室に大阪府吹田市の主婦(58)が訪れた。「こんな書籍やパンフレットがありますよ」と常駐スタッフの山本ゆかりさんが優しく声をかけ、調べ方をアドバイスした。
主婦は「丁寧に教えてもらい、ありがたい。書店に行ってもどの本がいいのか分からないし、見つかっても高くて買えない。数年前に手術した良性の縦隔腫(しゅ)もずっと気になっていたが、医師の説明の裏付けがはっきりして安心した」と笑みを浮かべた。
重度のぜん息で同センターに入院している大阪市の女性(36)は「どんな病気か基礎知識を調べた。病名を聞いてひるんでいたが、これからどうしたらいいか参考になった」という。
患者情報室は2003(平成15)年10月にオープン。企画・運営はNPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)。同センター入院患者だった元新聞記者、故井上平三さんの「本屋にも行けない入院患者が気軽に病気や治療を学べる場所が必要」との願いが、開設のきっかけ。井上さんの遺族からの寄付で基金を創設、運営費に充てている。
同センター緊急災害医療棟1階のレストランに隣接し、約50平方メートルの小ぢんまりしたスペース。病院や出版社などが寄贈した医学書1400冊、パンフレット300冊、糖尿病や高コレステロールなどに関するビデオ50本も備え、いずれも自由に閲覧できる。闘病記などの読み物は、同センターの入院患者と、抗がん剤治療などに訪れる外来の化学療法患者に3日間貸し出す。
パソコンも2台設置し、1台はインターネットによる情報検索用、もう1台には治療マニュアルのデータを閲覧用に収めている。
COML代表の辻本好子さんは「患者さんらの知りたい気持ちを手助け、患者さんらが納得いくまで調べ、『これで良かった』と思えるような自己決定に役立ててもらう。いわば杖(つえ)のような役割」と意義を語る。廣島院長も「病気に詳しい患者が増えれば、医師に良いプレッシャーになる」と歓迎する。
注目されるのは、患者の体験談のファイルが閲覧できることだ。COMLが随時募集しており、現在は胃がん、肺がんなど54人分。同じ病気をした先輩患者の記録を知りたいという声にこたえた。「乳がんの体験談がよく読まれている。二、三百人分に増えたら病気別に分けたい」と山本さん。
情報室には、薬剤師20年の経験がある山本さんとボランティア2人が常駐して手助けする。登録しているボランティアは元看護師、医学生、主婦など27人。図書館司書の経験者が書籍などを分かりやすく分類したという。
資料調べだけでなく、同センターの医師を講師に勉強会を2カ月に1回程度開催。映画鑑賞会も開き、参加者の心を和ませている。
患者らが感想を書き記すノートを読むと、「明るく落ち着いた感じで居心地がいい」「病気のことが分かったおかげで、前向きに考えていく気持ちになった」。来訪者へのアンケートでも「やすらぎの場として救われた」「話を聞いてもらうだけでも気持ちが収まった」という声が寄せられ、患者に寄り添う情報室の姿勢がうかがえる。
ただ、課題もある。医師らが多忙なこともあり、患者と医療者の交流や情報交換はまだ活発ではない。
廣島院長は「患者同士の交流も自然発生すると思ったが特にはない。もっと患者から要求が来てもいいはず。患者は自分の病気を調べるのに精いっぱいのようだ。スペースも手狭なので将来的には広い場所を確保したい」。
辻本さんは「勉強会などを通じて“人の輪”が少しずつ広がり、交流サロンのような場になればいい」と期待している。
患者情報室の連絡先は(電)06(6942)7321。午前10時〜午後4時(土・日曜、祝日は休み)。ホームページはhttp://www.onh.go.jp/jouho/jyohousitu.html 患者体験談は、コムルのホームページ(http://www.coml.gr.jp/)から投稿できる。
(熊本日日新聞2005年1月16日付朝刊「サンデー特報」) |
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