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2タイプの老健施設 病床削減で“介護難民”も
 医療費抑制の一環として、厚生労働省が計画した療養病床の転換が行き詰まっている。“切り札”として打ち出した医療機能型老人保健施設(仮称)も、既存老健施設の移行が認められないため、不満が渦巻いている。

 厚労省の調べでは、療養病床は、医療保険適用約二十五万床、介護保険適用約十二万床の計約三十七万床。厚労省は「医療費適正化」を目的に、二〇一二年三月末までに医療保険適用床を十五万床程度まで削減するという。

 結局、焦点は“余剰の二十二万床”の扱い。厚労省は、療養病床を有料老人ホームや特別養護老人ホームなどに転換する病院・診療所には転換資金融資制度の創設など、支援を強化する計画だが、反応は鈍い。最大の原因は報酬の違い。医療保険適用の療養病床で最も重い介護度5の患者を受け入れると一カ月の診療報酬は約四十一万円。介護保険適用の療養病床は最高の老健施設で一カ月約三十一万円。十万円ほどの開きがある。

 そこで厚労省は、医療機能強化型老人保健施設という新型の老健施設を考えた。常勤医の配置数は既存の老健施設並みにし、看護職員の配置を手厚くする。常勤医不在の際は、他の病院からの往診などで補う。看護職員は夜中も配置し、積極的に患者を看取る。報酬は一カ月三十五万円前後とされている。

 ただ医療保険適用の療養病床の転換は可能だが、既存の老人保健施設の参入は認められない。医療機能強化型老保健施設は、介護保険財政ではなく、医療保険財政の建て直しが狙い。介護保険適用の既存施設が移行しても目的は果たせない。

 結果、タイプの異なる老人保健施設が二つ並存することになるため、社団法人全国老人保健施設協会(東京都港区)は「ユーザーは混乱するし、私たちの施設が持ち出しで人員配置している努力は評価されない」と訴える。

 介護保険適用の老健施設には、看護師や理学療養士などを基準以上に配置し、患者の看取りに力を入れている施設も少なくない。こういった施設に、どんな公的支援が可能なのか。二十二万床転換の“受け皿”の姿も明確でないまま、療養病床削減に奔走するのは“介護難民”の大量発生につながりかねない。


 
(熊本日日新聞2007年8月29日付夕刊メディカル)

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