



|
| 難病FAP発症確認されたが… ドミノ肝移植継続 熊大付属病院 |
 |
 |
 |
「ドミノ肝移植は続ける」―熊本大医療チームは会見で治療の継続を打ち出した。京都大病院で生体ドミノ肝移植を受けた女性患者が難病のアミロイド・ポリニューロパシー(FAP)を発症したことを同チームが確認。移植された肝臓が原因で、その危険性は以前から指摘されていた。しかし、末期の肝臓病患者にとって、移植以外に有効な治療法はまだない。(梅野智博)
熊本大病院でも二〇〇三年以来、八人がドミノ肝移植手術を受けている。
「FAPの患者さんがドミノ肝移植に合意しました。この患者さんの肝臓を、あなたに移植することができます」。ドミノ肝移植の危険性や、将来FAPが発症するリスクも詳細に説明する熊本大FAP研究チームの猪股裕紀洋教授。傍らには同病院の倫理委員会のメンバーが立ち会っていた。
医師の説明に男性患者は喜んだ。「すごいチャンスです。すぐやります」。重い肝臓病だった。余命は半年もないと見られていた。
FAPは肝臓で作られる特定のタンパク質が、神経や臓器に蓄積して感覚・運動障害を引き起こす神経疾患。解毒や栄養貯蔵といった肝臓機能そのものは正常なので、移植臓器として使える。
国内の生体ドミノ肝移植は一九九九年、京都大病院で始まった。今回、発症が確認されたのはその時の患者。手術から六年半後だった。
FAPの発症は開始当初から危ぐされていたが、何年後に発症するかは見解が分かれていた。
「正直、予想よりも早いという印象はある。いい治療法とは言えないが、ドミノ肝移植は、今後も重要な選択肢であることに変わりはない」。チーム責任者の安東由喜雄教授は移植治療を続ける方針だ。
猪股教授によると、胃は全部切り取っても、ほかの消化器がその働きを補ってくれる。腎臓には人工透析がある。しかし、肝臓には機能を補ってくれるほかの臓器や装置がない。投薬治療などの効果が期待できない末期の肝不全患者にとって、肝臓移植だけが頼れる治療法という。
一九九七年、「臓器移植法」が制定された。これまでの九年間で、三十二人が脳死者の肝臓を提供された。家族などから肝臓の一部を譲り受ける「生体肝移植」もある。しかし、臓器提供者の健康状態、血液型の適合、肝臓の大きさなど多くの制限がある。
「国内では年間ほぼ五万人が肝臓がんや肝硬変で死亡している。C型肝炎ウイルスの感染者だけでも二百万人いると言われる。移植を必要とする人は今後、さらに増えるだろう。臓器は圧倒的に不足している」と猪股教授は移植治療の推進を訴える。
ドミノ肝移植は、欧州を中心に海外では約四百例の実績がある。安東教授は「多くの研究者が情報を持ち寄ることで、もっといい治療法を見つけていきたい」と話した。
(熊本日日新聞2006年7月28日付夕刊) |
|
 |
 |
 |
|
|