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ドミノ肝移植患者 6年半でFAP発症 熊本大確認
 熊本大は二十六日、県内のアミロイド・ポリニューロパシー(FAP)患者から一九九九(平成十一)年に生体ドミノ肝移植を受けた五十代女性(秋田県在住)が、六年半後の今年二月にFAPを発症していたと発表した。生体ドミノ肝移植を受けた患者のFAP発症が確認されたのは国内で初めて。

 これまで移植後二十年は発症しないとの見方もあったが、海外では移植後八年で発症した報告例がある。熊本大大学院医学薬学研究部の安東由喜雄教授は「六年半での発症は、予想より早いという印象を持った」と話している。

 ドミノ肝移植は京都大病院であり、県内男性の健康な肝臓の一部をFAP患者に移植。FAP患者の肝臓を分割して別の肝臓病患者二人に提供した。移植以前、二人は余命六カ月以内と診断されていた。国内初のドミノ肝移植で、手術は無事終了したが、もう一人の患者は四カ月後に多臓器不全のため死亡した。

 五十代女性は手術後、熊本大病院などで経過を観察。一昨年から秋田の大学病院が腸管にFAPの原因物質アミロイドがたまり、神経伝導速度が落ちてきたことを確認。足先の温度感覚の低下も見られ、熊本大病院の医師が今年二月、FAPの初期症状と診断した。

 FAPは、肝移植以外では病気の進行を止められない。一方、FAP患者の肝機能そのものは異常がなく、肝臓病で余命わずかと診断された患者にとっては、緊急避難的な処置になりうる。ドミノ肝移植はこれまで、国内で二十八例実施され、すべてFAP患者の肝臓が利用されてきた。

 信州大病院では、ドミノ肝移植を受けた患者二人に、移植後三年十一カ月で胃の粘膜にアミロイドが沈着する状態が見られたが、同病院は「現段階で発症ではない」としている。

 安東教授は「脳死移植が進まない日本では、ドミノ肝移植が患者にとって重要な選択肢であることに変わりはない」と話している。

予想以上に早い発症

 田中紘一・日本移植学会理事長の話 六年半での発症は、予想以上に早かった。患者によって発症までの期間は差があると考えられるが、この患者が特異なケースなのかどうかはまだ分からず、これまでドミノ移植を受けた患者について学会としても証拠を積み重ねてきちんと調査していきたい。これから移植を受ける患者に、予想以上に早く発症した事実を伝えることも重要だ。

 ○用語=アミロイド・ポリニューロパシー(FAP) 厚生労働省の指定難病「アミロイドーシス」の一つ。肝臓でつくられる異常なタンパク質アミロイドが神経や臓器に沈着することで、手足のしびれといった感覚障害や筋力低下などが起き、進行すると心臓や腎臓の機能も低下する。根治には肝臓移植しかないとされる。

 (熊本日日新聞2006年7月27日付朝刊)
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