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男性にも更年期障害 ホルモン補充で改善
 最近どうも疲れやすい、気分が落ち込む。でも健康診断では目立った異常はない―。中高年の男性がこんな症状を感じていたら、「更年期障害」の可能性がある。だが、「更年期障害は女性特有」と、患者にも医師にもあまり知られていないのが実情。症状の改善には、男性ホルモンの補充療法が有効だ。

和田孝浩講師
熊本大付属病院
泌尿器科
 中年以降で起きる疲れやすさ、性機能障害、発汗、ほてり、さらに憂うつなど心身の症状が男性更年期障害とされる。多くは、加齢に伴い、男性ホルモン「テストステロン」の分泌が低下して起こると考えられている。

 「ここ数年、患者を診ているが、こういう病状はだれにも幾分かはあり、徐々に進行した場合、加齢による生理的な機能と区別がつきにくい。潜在的にはたくさんの患者がいると思う」と熊本大付属病院泌尿器科の和田孝浩講師。

 同病院では、本人の自覚症状を聞き、10項目のチェックリストで判定する。「性欲の低下がある」または「勃起(ぼっき)力が弱くなった」なら、更年期障害の疑いがある。「元気がなくなってきた」など8項目のうち3項目が当てはまっても同じ。加えて血液検査で血中のテストステロン濃度を測定し、診断する。また、男性更年期障害が起こりやすい人のタイプも知られている。

 ●テストステロン濃度には個人差

 標準的な治療は、注射でテストステロンを補充するホルモン補充療法。和田講師は「経過を見ながら患者に合わせて補充量を調整していくのが大事。テストステロンのうち、生物学的活性型テストステロン(bioavalable testosterone、BT)が低い患者はホルモン補充で症状が劇的に改善する」と話す。勃起機能障害が強い患者にはテストステロン補充以外にも勃起改善薬を処方したり、漢方薬や抗うつ薬を併用すると効果があるという。

 ただ、テストステロン濃度は個人差が大きく、濃度が高くても、症状が現れる人もいる。和田講師によると、テストステロン自体は前立腺がんや前立腺肥大症に対し悪い影響を与える可能性があることから、補充前に前立腺がんや前立腺肥大症による排尿障害がないことを確認するため、最低でも血液検査でPSA(前立がん特異抗原)や残尿を検査するという。また、補充で肝機能障害や多血症を起こす危険性もあり、肝機能異常や多血がないことも確認している。

 また、BTは最もよい検査指標とされているが、測定法が複雑、高度で自動化が進んでいない。BTを算出するためのSHBG(sex horomone binding globulin、性ホルモン結合グロブリン)測定には、保険診療が認められておらず、患者負担がやや高額になる。

 ●診療科の枠超えた連携を

 男性の更年期障害の研究もここ数年になってから。男性には女性の閉経のような節目がなく、男性ホルモンの減少も緩やか。いつが更年期なのか分かりにくいことが、医学的、社会的にも認知されにくかった一因で、医療機関も対応が追いついていないのが現状だ。

 和田講師は「性機能障害が出れば泌尿器科、うつ症状が前面に出る場合は心療内科、精神科を受診するケースが多い。更年期障害は性機能だけでなく、心や身体の症状を起こすため、診療科の枠を超えた連携が必要となる」と指摘。

 「表面的にはうつと同じような症状がみられ、更年期障害と分からないことも多い。家族や職場では、『気合が入っていない』などと決してたしなめたりせず、心の支えになり、早めの受診をすすめてほしい」と話している。(高本文明)

男性更年期障害のチェックリスト

男性更年期障害が
起こりやすい人のタイプ
(1)性欲(セックスをしたいという気持ち)の低下がありますか A) まじめで神経質

(2)元気がなくなってきましたか

B) 几帳面でせっかち
(3)体力あるいは持続力の低下がありますか

C) くよくよ考える

(4)身長が低くなりましたか D) 責任が重い管理職

(5)“日々の楽しみ”が少なくなったと感じていますか

E) 人付き合いが下手

(6)物悲しい気分、怒りっぽいですか

F) 趣味が少ない

(7)勃起(ぼっき)力は弱くなりましたか

G) 通勤時間が長い

(8)最近、運動をする能力が低下したと感じていますか

H) 家庭環境に問題がある
(9)夕食後、うたた寝をすることがありますか I) 体を動かさない
(10)最近、仕事の能力が低下したと感じていますか  
※ (1)または(7)が「はい」の場合、あるいはそれ以外の8問のうち3問が「はい」の場合、男性更年期障害の疑いがある

 
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