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| 家庭の介護力補うサービス 進まぬ事業所整備 |
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熊本市春日の住宅街にある介護事業所「はるかぜ」。地域に密着して家庭での高齢者介護をサポートする。そんな活動を続けている。
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| 職員も高齢者と一緒に食事をする。家庭的な雰囲気に話もはずんだ=熊本市の介護事業所「はるかぜ」 |
「さあ、ご飯を食べましょう。目を開けてください」。職員が声を掛けると、重いパーキンソン病で目も口も閉じたままだった高齢者の表情が徐々に緩んでいった。やがて口を大きく開けてコロッケをほお張った。「うん、おいしか」と笑顔が浮かんだ。
「はるかぜ」のサービスは「小規模多機能」と呼ばれる。家族の負担を軽減するため、高齢者を一時的に預かったり、食事を提供したり、職員が家を訪ねておむつ交換や身繕いを手伝ったりもする。「仏事で家族が県外に出かけなければならない」。そんなときには短期の宿泊も可能だ。
築三十年の民家を改修して昨年八月にスタートした。「多くのお年寄りは、住み慣れた地域で家族と一緒に暮らしたいと思っている。私たちがサポートすることで、それが可能になれば」と横山紀代美所長。
■有明・球磨はゼロ
療養病床から帰った高齢者を家族だけで介護するには限界がある。小規模多機能サービスは、家庭の介護力を補う役割が期待されている。国は小規模多機能の事業所が「生活圏域(おおむね中学校校区)に一つ程度整備されることが望ましい」としているが、普及は進んでいない。
県高齢者支援総室によると、県内の小規模多機能事業所の数は三十六。有明(荒尾・玉名)と球磨地域には一つもない。
原因として業務の多忙さや介護報酬の低さが指摘されている。小規模多機能では、家庭の介護トラブルにも対応するため二十四時間三百六十五日の稼働が求められる。一方で、介護報酬は「要介護一だとグループホームの半分ほど」(横山所長)と低い。
「はるかぜ」を運営する医療法人清心会の清田武俊理事長は「介護は大変な重労働で、一つひとつが手づくり。現状では採算が合わず、サービスを始める事業所は少ないだろう」と話す。
■受け皿確保を
県は現在、国の医療制度改革を受けて、療養病床を再編する計画案づくりを進めている。その中で郡市レベルごとの病床数や受け皿施設数などの目安を九月中にも示す方針だ。
「退院を余儀なくされ行き場を失う高齢者が出るのではないか、という不安も聞かれる」「医療の必要度が低くても実は寝たきり」。計画案の骨子には、そんな文面も並ぶ。同総室は「老人保健施設などへの転換をスムーズに進め、受け皿を確保しなければならない。問題点があれば国にも積極的に改善を求めていく」と話す。
「介護型」療養病床が全廃されるまで、あと四年半。行政や医療、福祉機関のほか家族の準備も必要だ。清田理事長は訴える。「私たちは将来、必ず高齢者になる。自分が老後を迎えたとき、どんな暮らしをしたいのか。その視点を忘れてはいけない」(梅野智博)=終わり
(熊本日日新聞2007年10月4日付朝刊) |
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