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負担増のグループホーム 受け皿はどこに…
療養病床の行方 〜県内の現場から〜(4)
 「ごちそうさま」。白髪の高齢者が自分の食器を持ってテーブルを立った。介護職員が食器を受け取ろうとすると、断った。「あんた、忙しかろうタイ。私が洗う」

トマトを切る入所者。認知症があっても、できるだけ自宅と同じ生活を心掛けている=熊本市のグループホームおびやま
 認知症の高齢者が共同生活を送る、グループホームおびやま(熊本市帯山)では八十歳から九十七歳までの六人が暮らしている。体が不自由な人も多いが、掃除機掛けや食器洗い、野菜を切ったりと、できることは自分でやる。

 転んだり、けがをする危険はある。周囲の見守りが欠かせない。新納智恵美施設長は「職員がやった方が効率的だが、それでは体の機能が落ちてしまう。手間は掛かっても大切なこと」と話す。

 グループホームは、療養病床を退院した高齢者の受け皿として期待されている。だが、新納施設長は「職員は日勤でも二人だけ。経管栄養が必要な人のケアはとても無理」と表情を曇らせた。

 年間3千億円

 国は、療養病床の入院患者を減らし、より費用が安い介護施設の利用者を増やすことで、年間約三千億円の公的負担を軽減できると見積もっている。

 厚生労働省によると、平均的な一人当たりの費用は、「医療型」療養病床が月四十九万円、「介護型」が四十一万円なのに対し、受け皿となる老人保健施設は三十一万円、特別養護老人ホームは二十九万円だ。患者・家族はその一割(食費・居住費は全額)を負担する。支払額は介護施設の方が安い。

 しかし、グループホームの場合は利用者の負担は増えてしまう。地域密着を理念とするグループホームでは、一棟の定員が最大でも九人と少なく、老人保健施設など大型の入居施設に比べ、家賃、光熱水費などが割高となってしまうからだ。

 ギリギリの経営

 グループホームおびやまは、定員六人とさらに小規模。利用者の負担額は要介護二の高齢者だと月約十三万円という。「医療型」療養病床の患者負担が、医療区分一だとリハビリ代を含めても月約九万円というのに比べ高い。

 「年金だけではグループホームに入居できない人もいるだろう。でも、現状の介護報酬では、これがギリギリの数字」と新納施設長。

 県北の別のグループホームの関係者は「経営母体の病院に費用を負担してもらっている。単体ではとても経営が成り立たない」と話す。

 その病院の体力も落ちている。特に療養病床を持っている病院は、老人保健施設などに転換させる費用を準備しなければならない。県医師会で療養病床問題を担当した医師は嘆く。「熊本は人件費が安いからやっていける。しかし、これ以上診療報酬や介護報酬が下がれば無理だ。低賃金では、若い人のやる気を支えることはできないだろう」(梅野智博)

◇認知症高齢者グループホーム 認知症の高齢者が家庭的な雰囲気の中で共同生活を送る。介護保険の「地域密着型サービス」の対象で、介護職員が入浴や排せつ、食事などの日常生活を支援する。自分のペースで生活できることや症状を理解した職員のケアを受けることで、認知症の症状が抑えられるといわれる。

 (熊本日日新聞2007年10月3日付朝刊)
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