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長期入院どこへ行けば…ベッド削減 退院迫られる高齢者
療養病床の行方 〜県内の現場から〜(1)
 病院や医院のベッドのうち、慢性病を抱える高齢者の長期入院を受け入れてきた「療養病床」の削減が進んでいる。県内には現在、約一万千四百床があり、仮に国の計画通りに削減が進むと、五千人以上の高齢者が退院を迫られることになる。療養病床を出て、自宅や介護施設に移る高齢者はどうなるのか。現場の戸惑いと不安を伝える。

療養病床の共有スペース。一般病院よりも広々としている=熊本市の桜十字病院(患者の一部をぼかしています)
 「本当は、早く退院して家に帰りたい。知人に預けているネコも心配だし」。幸江さん(仮名)は一人暮らし。もうすぐ九十歳になる。

 昨年末に足に大けがをして、いくつかの病院を転々とした。まず、熊本市の救急病院で手術を受け、すぐに自宅近くの一般病院に転院した。そこでも長くは滞在できず、今春には桜十字病院(同市御幸木部)の療養病床に移った。

 足の回復は順調だったが、高血圧と糖尿病がかなり進んでいることが分かった。「じっくりと病気を治しましょう」と主治医が言った。やっと落ち着き先が決まった。

 国の方針転換

 救急や一般病院には入院日数の目安があり、長期入院はできない。そんな患者の受け皿になっているのが療養病床だ。一般病院よりも病室や食堂などの共有スペースが広く、長期の療養に適している。二〇〇六年十月には全国で約三十八万床、県内には一万二千七百床があった。

 しかし、国は昨年の医療制度改革で、療養病床を半分以下に減らす方針を打ち出した。伸び続ける高齢者医療費を抑えるためだ。また、世話をする家族がいないなど、家庭の都合で高齢者を療養病床に入院させる「社会的入院」を解消する狙いもあった。

 まず、療養病床の約35%を占める「介護型」と呼ばれる介護保険適用の療養病床を二〇一二年三月で全廃。さらに、医療保険適用の「医療型」も、幸江さんのような比較的軽症の患者の診療報酬を大幅に減額して漸減するように誘導した。

 経営が苦しくなったり先行きが不透明なため、すでに全国で約一万床、県内では千三百床が減った。二〇一三年三月には、全国で二十万床から十五万床程度になるとみられている。

 退院、再入院

 幸江さんは今夏、「住み慣れた自宅がいい」と自ら退院した。だが、一カ月もたたないうちに病状が悪化。主治医は「一人暮らしでは体調管理が難しい。もう一度入院してみませんか」と勧めた。カルテには「一週間以上の安静が必要」と書かれていた。

 同病院の西勝英院長は「どんな高齢者も、自宅で暮らしたいと願っている。でも、それができない事情がある。長期入院の患者は、これからどこに行けばいいのか。受け皿づくりを急がなければいけない」と話した。(梅野智博)

 (熊本日日新聞2007年9月29日付朝刊)
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