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| 過酷な現場…医師不足に拍車 |
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午後九時。荒尾市民病院の夜間外来の受け付けが、照明にぽっかりと浮かび上がる。時折、保護者に連れられた子どもの姿が明かりの中に消えていく。
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| 医師を養成する熊本大学医学部の付属病院。地方の深刻な医師不足を受け、県は大学などと連携した地域医療の再編も検討課題としている
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「非常勤の医師も含めると何とか診療体制は組めるが、常勤の数は最低限を割っている。当直翌日も、ほとんど休まず仕事に入る」「後輩を指導する余裕もなく、“ここでは勉強できない”と去る若い医師もいる」
県北の拠点施設、山鹿市立病院。内科の新名主宏一医師(55)が、医師不足の窮状を訴える。
昨年四月に七人いた内科医が、異動や開業などでこの春からは三人に。内科医が行っていた検査などは外科医がカバーしている。その分、今度は外科がきしむ。
高度な手術も手掛ける外科だが、「あと一本手が欲しいと思っても、手術室に三人入るのはうちでは不可能。その分は、何とか現場で対応せざるをえない」と外科の宮村俊一医師(42)。
医師不足は地方の自治体病院など勤務医の現場で顕著で、「事故の危険性も高まっている」という報告もある。
■専門・細分化で
医師不足の背景の一つには、〇四年度から始まった新人医師の臨床研修制度がある。
それまで、新人医師は大学の医局で初期研修を積んだ。しかし、「研修が専門分野に偏る」などの反省から、大学や一般の研修病院(大規模総合病院など)で多くの科を経験する、二年間の研修が義務づけられた。
県内で研修を始める新人医師は毎年百人前後だが、研修先としては大学より“第一線”に近い、大規模病院の人気が高まっている。大規模病院も若い医師の確保に力を入れ、大学の医師不足を招いた。
大学は組織が臓器別に専門・細分化されたこともあり、医師派遣などに余裕がなくなり、地方病院から「極端な影響が出ないよう配慮しながら」(大学)医師を引き揚げる結果となっている。
「特に、開業や都市部の大病院への就職などが増加し、大学も人手が不足しているのが実態。大学も教育、研究に、付属病院での診療もあり、手薄にはできない」と倉津純一・熊本大学付属病院長(56)。
県は対策として、女性医師の出産後の就業継続支援、医師会と連携したドクターバンクなどに取り組む。国も医学教育での地域医療分野の充実、医師に一定期間へき地勤務を義務付け―などを検討しているが、いずれも即効は期待できない。
■ドミノ現象
医療の進歩に伴い、医師の仕事は増える一方。患者の期待・要求も高まっている。
「これまでは何とか頑張ってきたが勤務医が、外来、当直、病棟と、あまりの忙しさに耐えかね、外(開業)を向いてしまった。ドミノ現象がおきている」と勤務医。
過酷な現場を立ち去る医師。人手不足に拍車がかかり、ますます勤務医を希望する医師が減る。そんな悪循環で、地域医療は崩壊すると懸念する医師もいる。
県は大学とも連携、地方の医療体制の再編などを検討している。
「医師不足がとりわけ深刻な産婦人科、小児科など、施設の集約化も必要。大学としても積極的にかかわっていきたい」と倉津・付属病院長。
これに対し、地方の現場医師は「十分で到着したら助かるのに、一時間かかっては…というケースもある。高齢社会、車のないお年寄りが通える病院などを考えると、地域に、ある程度完結できる医療体制は必要」と指摘。集約化は医療格差の拡大につながりかねないと言う。(松岡茂)=終わり
(熊本日日新聞2007年5月18日付朝刊) |
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