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熊本産院 幸山市長、廃止の意向 評価交錯 議会の焦点に
幸山政史市長が事実上の廃止の意向を表明した熊本産院=熊本市本山
 熊本市民病院付属熊本産院(同市本山)について幸山政史市長が六日、事実上、廃止する意向を表明したことに波紋が広がっている。議会内には「産院機能の市民病院統合で母子医療が強化される」と評価する声がある一方、存続を求めてきた市議や市民グループは「経営状況の改善や市民の意向がくみ取られていない」と猛反発。同市長は議会の意見を聞いた上で九月めどに最終判断する方針で、産院問題が十三日開会の六月定例会の最大焦点となる。

 「産院のノウハウと人材を市民病院が引き継ぎ、その機能を市全域に広げたい」。六日の会見で幸山市長は妊産婦支援など産院の役割を評価、「廃止ではなく機能の一体化」と説明した。

 市長によると、「母乳育児の推進状況」など二〇〇六年三月議会の付帯決議で明記された五項目を総合的に検討。会見では「公立病院の果たす役割も考慮した」とも加えた。市健康福祉局幹部は「産院の本来の役割は、経済的に苦しい人などを対象にした助産だが、現在は通常のお産が多い。それは民間医療機関が充実している本市で、行政が果たすべき役割なのか、ということだ」と補足する。

 産院の最大懸案だったのは経営状況。同日公表された〇七年度決算は、「退職金を除き約二千六百五十三万円の赤字」で、〇六年三月議会の付帯決議に盛り込まれた存続の最低条件「年間赤字三千万円以内」は達成した。しかし、市長は、慢性的な赤字体質と施設の老朽化なども指摘した。

 このため、存続を訴えてきた市民グループらはさらに反発。産院で出産した保護者らでつくる「産院存続を求める家族会」の鬼武優子代表(38)は「産院はベッド数や職員の削減などの努力を重ね目標を達成した。それなのに廃止とはおかしい。市長は廃止ありきだ」。同日夕には共産、自由クラブの女性市議三人を含む十人が緊急会見し、「〇六年三月に存続を求める署名が十万人分集まったこともくみとられていない」と訴えた。

 これに対して、市議会各会派の受け止めはさまざま。公明党は「一億円もの赤字を大幅に減らした経営努力を評価すべきだ」と反対の立場。保守系無所属会派の「くまもと未来」は「市民病院への一体化で周産期母子医療などが強化できる」などと大筋で理解を示す。

 一方、最大会派の自民市議団の落水清弘政調会長は「決算は一応目標を達成しており、このタイミングで市民病院との一体化方針の表明は唐突な印象」と言うものの、会派としての意見集約はこれから。民主・社民系などでつくる市民連合も「六月議会での市長の考えを詳しく聞いた上で判断する」(東すみ代団長)としており、両会派の対応に注目が集まる。(渡辺直樹、武田愛一郎)

◇熊本産院 一九六四(昭和三十九)年四月開業。九九―二〇〇六年度の平均赤字額(退職金を除く)は約一億二千万円と経営が不振だったことなどから、存廃問題が浮上。〇七年度決算では、収入約三億二千六百万円、支出三億八千万円で、退職金を除いた赤字額は二千六百五十三万八千円だった。現在の病床数は二十八床で、医師、看護師、助産師ら嘱託を含み職員三十五人が勤務する。

 (熊本日日新聞2008年6月7日付朝刊)
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