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県内救急医療 崩壊の危機 「受け入れ断り」増加
 県内の四大救急病院の急患受け入れ能力が限界に近付いている。ベッド数当たりの救急入院患者が全国トップクラスの済生会熊本病院(熊本市)が救急車を断る「救急ストップ」は二〇〇七年度で日数にして七十二・一日。五日間のうち丸一日は断った計算。同病院救急センターは「熊本の救急医療も崩壊寸前」と警鐘を鳴らす。

 「『受け入れを十カ所で断られた』というような話をちょくちょく聞く。熊本は、奈良や大阪などのように病院から受け入れを断られ続けた搬送中の患者が死亡していないだけ。現状はいつそんな事件が起こってもおかしくない」。同救急センターの前原潤一救急部長の表情は深刻だ。

 熊本県の救急医療は、救命救急病院(三次救急病院)として知事が指定した熊本赤十字と国立病院機構熊本医療センターのほか、済生会熊本、熊本市民という熊本市の四病院が担う。県内の救急患者の70%近くは四病院が受け入れているとされる。このうち熊本赤十字も救急ストップがほぼ右肩上がりに増加。〇三年度は断った救急車が五百二十四台だったが、〇七年度は約一・二倍の六百二十五台になった。

 同病院は熱傷病床を二床確保しているものの、四月から常勤の皮膚科医が不在。救命救急センターの井清司部長は「軽度熱傷は外科医で処置できるが、重度熱傷の急患はお断りせざるを得ない」。

 熊本市民病院は救急ストップの記録を残していない。ただ同病院関係者は「新生児の救患を断り、ヘリコプターで久留米大病院などに回すこともままある」と明かす。

 そんな状況で、“最後の砦(とりで)”とされるのが熊本医療センター。「救急車は絶対に断らない」と救命救急センターの高橋毅部長。事実、〇二年度に四千三百台に及ばなかった救急車の受け入れ台数は年々“うなぎ昇り”。〇五年度に熊本赤十字を抜き、〇七年度は八千台に迫った。

 ただ高橋部長も不安の種はある。「療養型病床が削減され、高齢者が自宅に戻っている。この在宅高齢者の救急患者が増えたら、間違いなくパンクする」(南里秀之)


 (熊本日日新聞2008年5月5日付朝刊)
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